「勉強しなさい」と言っても動かない子へ|次の行動を具体的にする方法
「勉強しなさい」と言っても、子どもがなかなか動かない。これは、やる気がないからとは限りません。「何を、どこから、どれだけすればよいか」が分からず、最初の行動を選べていないことがあります。曖昧な声かけを、子どもが実行できる具体的な行動に変える方法を、ときわの塾が解説します。

「勉強しなさい」と言っても、子どもが動きません
保護者の方から、このようなご相談をいただくことがあります。
「先生、どうしたら『勉強しなさい』と言わなくて済みますか?」
「何度言っても、なかなか始めません」
「声をかけると、子どもが嫌な顔をします」
保護者の方が「勉強しなさい」と伝えるのは、子どものことを心配しているからです。
宿題が終わっていない。
テストが近づいている。
このままでは困るのではないか。
そう思えば、声をかけたくなるのは自然なことです。
しかし、子どもにとって「勉強しなさい」は、何をすればよいのかが分かりにくい言葉でもあります。
算数の宿題をするのか。
漢字を覚えるのか。
間違えた問題を解き直すのか。
教科書を読むのか。
何分すれば終わりなのか。
これらが決まっていなければ、勉強する必要は分かっていても、最初の一歩を選べないことがあります。
動かない理由を、やる気だけで判断しません
子どもが勉強を始めないと、
「やる気がない」
「面倒だから逃げている」
と感じるかもしれません。
実際に、遊びたい気持ちや面倒に感じる気持ちがあることもあります。
しかし、それだけが理由とは限りません。
例えば、
- 何から始めればよいか分からない
- 宿題の量を見て、始める前から嫌になっている
- 分からない問題があることを予想している
- 教材を準備する場所が決まっていない
- どこまで終わればよいか分からない
- 疲れていて、すぐには集中できない
- 前回できなかった経験が残っている
という場合があります。
原因が違えば、必要な声かけも変わります。
「勉強しなさい」と繰り返す前に、どの段階で止まっているのかを見ることが大切です。
「勉強」を、最初の一つの行動に変えます
「勉強する」は、子どもにとって大きな言葉です。
そのため、今すぐできる一つの行動まで小さくします。
例えば、
「算数の宿題をしなさい」
ではなく、
「まず、算数のノートを机に出そう」
と伝えます。
「漢字を勉強しなさい」
ではなく、
「今日は、この5個を何も見ずに書けるか確かめよう」
と伝えます。
「テスト勉強を始めなさい」
ではなく、
「最初に、テスト範囲のプリントを並べよう」
と伝えます。
「間違い直しをしなさい」
ではなく、
「昨日間違えた問題を一問だけ見てみよう」
と伝えます。
最初の行動が決まれば、子どもは動き始めやすくなります。
すべての勉強を一度に考えさせるのではなく、まず何をするのかを具体的にします。
勉強中に止まっている理由も確認します
机には向かっていても、勉強が進んでいないことがあります。
問題文を見たまま、何分も鉛筆が動かない。
分からない問題で止まり、次の問題へ進めない。
間違えた問題を消しただけで、何もしない。
このようなとき、私は「早くしろ」と急がせることは、ほとんどありません。
その代わりに、
「今、どこで止まっている?」
と確認します。
止まっている理由によって、次の行動は変わります。
問題の意味が分からないなら、もう一度読みます。
解き方を忘れたなら、どこまで覚えているか確認します。
一人では進めないなら、分からない部分を質問します。
難しい問題に時間を使いすぎているなら、いったん印を付けて次へ進みます。
集中が切れているなら、短く休憩して戻ることもあります。
止まること自体が悪いわけではありません。
止まったあと、次に何をするか決められないまま時間が過ぎることが問題です。
「止まるな」は、急いで解けという意味ではありません
私は子どもに、
「止まるな」
と伝えることがあります。
ただし、これは、
「休まず勉強しなさい」
「早く答えを書きなさい」
という意味ではありません。
分からないのに適当な答えを書かせる言葉でもありません。
私が伝えているのは、
今の方法で進めないなら、次の行動を選ぼう
ということです。
例えば、
- 問題文をもう一度読む
- 分かっていることを書き出す
- 例題を確認する
- 分からない部分を質問する
- いったん別の問題へ進む
- 短く休憩して戻る
という選択があります。
何もせずに止まっている時間を長くするのではなく、今できる行動へ移ります。
「止まるな」という短い言葉だけで意味が伝わらない子には、次に選べる行動も一緒に示します。
できていないことだけでなく、動けた行動を見ます
子どもが自分から勉強を始めなかった場合でも、声をかけたあとに行動を変えられることがあります。
ノートを出せた。
問題を一問読めた。
分からないところを質問できた。
止まったあと、自分で別の方法を試した。
このようなときは、何ができたのかを具体的に伝えます。
「今日は、ノートを出したあとは自分で始められたな」
「分からないまま止まらず、質問できたな」
「一度休憩したあと、自分で戻れたな」
「次の問題へ移る判断ができたな」
「すごいね」「頑張ったね」だけでは、子ども自身が何を続ければよいのか分からない場合があります。
実際にできた行動を言葉にすることで、次にも同じ行動を選びやすくなります。
認めることは、何でも褒めることではありません
子どもの行動を認めると聞くと、
「少ししただけでも褒めなければならないのか」
と思われるかもしれません。
しかし、何でも大げさに褒める必要はありません。
勉強を始めなかったことまで、よいことにするわけでもありません。
見ているのは、以前との違いです。
昨日は何度言っても教材を出さなかった。
今日は、一度声をかけたあと自分で準備できた。
以前は分からない問題で長く止まっていた。
今日は、自分から印を付けて先生に質問できた。
このような変化を事実として伝えます。
まだ完全にできていないことと、何も変わっていないことは同じではありません。
改善途中の行動に気づきながら、次は声をかけられる前にできる状態を目指します。
家庭では、勉強の内容まで教え切らなくて構いません
家庭で子どもが動かないとき、保護者の方が問題の解き方まで説明し始めることがあります。
しかし、教え続けるうちに、
「さっき説明したでしょう」
「どうして分からないの?」
と、親子ともに苦しくなることがあります。
家庭で最初に確認するのは、勉強の内容ではなく、次の行動だけでも構いません。
「今日は何をする予定?」
「最初に出す教材はどれ?」
「どこまで終われば区切りにする?」
「分からない問題はどうする?」
ここまで決めても動けない場合や、始めても内容が分からず止まる場合は、家庭で最後まで教え切ろうとしなくても構いません。
どの教材の、どの問題で止まったのかを塾へ持ってきてもらえれば、学習内容と行動の両方を確認できます。
家庭では始める準備を整え、難しい内容や学習方法の修正は塾が担当する。
そのように役割を分けることもできます。
声かけを少しずつ減らしていきます
最初は、
「算数のノートを出そう」
と具体的に伝える必要があるかもしれません。
次は、
「最初に何をするんだった?」
と、子ども自身に思い出してもらいます。
その次は、決めた時間になったとき、声をかけずに様子を見ます。
やがて、自分から教材を準備し、勉強を始められるようになることを目指します。
具体的に伝えることは、いつまでも大人が指示を続けるためではありません。
子どもが次にすることを理解し、少しずつ自分で選べるようにするためです。
声をかける内容を、
「勉強しなさい」
から、
「最初に何をする?」
へ変える。
そして、最後は声をかけなくても始められるようにする。
この順番で、大人からの指示を少しずつ減らしていきます。
子どもが自分で動くためには、次の行動が必要です
「勉強しなさい」
「もっと頑張りなさい」
と伝えるだけでは、子どもが何を変えればよいのか分からないことがあります。
まず、どこで止まっているのかを確認します。
そして、今できる一つの行動に変えます。
教材を出す。
問題を一問読む。
分かっていることを書く。
質問する。
別の問題へ進む。
短く休憩して戻る。
子どもがその行動を選べたときは、何が変わったのかを具体的に伝えます。
大切なのは、何度も指示されて動くことではありません。
少しずつ声かけを減らし、最後は自分で次の行動を選べるようになることです。
ときわの塾では、勉強するように言い続けるのではなく、子どもがどこで止まり、次にどのような行動を選べばよいのかを一緒に確認します。
行動が変われば、教わったことを自分の力に変える学び方も変わっていきます。
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