中学受験の先取りは小3までに必要?|先に育てたい5つの学習行動
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中学受験を考えると、小学校3年生までに先取り学習を始めるべきか迷うことがあります。先取りが合う子もいますが、学年だけを先へ進めても、教わったことを自分の力にできなければ受験勉強は苦しくなります。先取りの前に確認したい5つの学習行動を、ときわの塾が解説します。

「中学受験を考えるなら、小学校3年生までに先取りした方がよいのでしょうか」
「周りの子が上の学年の算数を始めたと聞き、遅れているようで心配です」
「難しい問題集へ進ませた方が、受験に有利になりますか」
西宮市で中学受験を考える低学年の保護者の方から、このようなご相談をいただくことがあります。
周囲の子が小学校4年生や5年生の内容を学んでいると聞くと、わが子も早く始めなければならないように感じるかもしれません。
先取り学習によって、学校で習う前に内容を理解し、余裕を持って中学受験の勉強へ進める子はいます。
しかし、学年だけを先へ進めることが、すべての子にとってよい準備になるわけではありません。
先取りした内容を覚えているだけで、問題の形が変わると使えない。
説明を最後まで聞かず、知っている問題だと決めて解き始める。
前の学年の内容に抜けがあっても、そのまま次へ進む。
この状態では、教材の学年は進んでいても、学ぶ力が育っているとは言えません。
小学校3年生までに優先したいのは、何年生の問題まで終わったかだけではなく、新しい内容を自分の力に変える行動ができているかです。
先取り学習が悪いわけではありません
先取り学習そのものを否定する必要はありません。
現在の学年の内容を理解し、もっと学びたいと思っている子であれば、先の内容へ進むことがよい刺激になります。
例えば、
- 現在の学年の計算が安定している
- 問題文を最後まで読める
- 説明を聞いたあと、一人で問題を解ける
- 間違えたときにやり直せる
- 学んだ方法を別の問題でも使える
- 子ども自身が先へ進みたがっている
という状態であれば、無理のない範囲で先取りを進めてもよいでしょう。
一方で、現在の内容に抜けがあるまま、周囲に追いつくためだけに先へ進むと、分からないことが増えていきます。
先取りをするかどうかは、子どもの年齢だけでは決められません。
今の内容をどのように学んでいるかを見て判断することが大切です。
教材が進んでいても、身についているとは限りません
先取り学習では、どの学年の教材を使っているかが目に見えます。
小学校2年生で3年生の計算をしている。
小学校3年生で割合を習っている。
学校よりも難しい文章題を解いている。
こうした進み方は分かりやすいため、順調に学べているように感じます。
しかし、本当に確認したいのは、教材の表紙に書かれた学年ではありません。
数字や聞かれ方が変わっても解けるか。
なぜその式になるのか説明できるか。
少し時間を空けても覚えているか。
前に教わった方法を、別の問題でも使えるか。
先生や保護者の助けがなくても解けるか。
ここまで確認して、初めて先取りした内容が本人の力になっていることが分かります。
説明を聞いた直後だけ解ける状態や、例題と同じ形だけ解ける状態で先へ進むと、学年が上がったときに抜けが表れます。
先取りの前に育てたい5つの学習行動
中学受験の勉強では、新しい内容を次々に学びます。
そのときに必要になるのは、早く習った経験だけではありません。
教わったことを聞き、試し、間違いを直し、一人で使えるようにする行動です。
小学校3年生までに、次の五つができているかを確認してください。
問題文を最後まで読む
一つ目は、問題文を最後まで読むことです。
先取り学習を進めている子の中には、問題の形を見ただけで、
「これは足し算」
「これは、前にやった問題」
と判断する子がいます。
知っている問題が増えることはよいことです。
しかし、最後まで読まずに解き始める習慣がつくと、条件や質問が変わったときに間違えます。
算数の文章題では、
何が分かっているのか。
何を求めるのか。
使わない数字が含まれていないか。
単位をそろえる必要があるか。
を確認しなければなりません。
国語でも、誰の気持ちを聞かれているのか、どのような形で答えるのかを最後まで読む必要があります。
先の学年へ進む前に、今の学年の問題を最後まで正確に読む行動を育てることが大切です。
人の説明を最後まで聞く
二つ目は、先生や保護者の説明を最後まで聞くことです。
先取りをしている子は、学校の授業で知っている内容が増えます。
すると、先生が説明している途中で、
「もう分かっている」
と考え、その後の話を聞かなくなることがあります。
最初は知っている内容でも、途中から新しい考え方や注意点が出てくる場合があります。
説明を最後まで聞かず、自己流で問題を解く習慣がつくと、中学受験の複雑な問題でも大切な条件を聞き落とします。
話を聞けているかどうかは、静かに座っている姿だけでは分かりません。
説明後に、
「先生は何をするように言っていた?」
「どの方法を使うの?」
「気をつけるところは何だった?」
と確認し、自分の言葉で説明できるかを見てください。
教わった方法を一度は試す
三つ目は、教わった方法を実際に試すことです。
子どもには、それまで使ってきた自分のやり方があります。
簡単な問題であれば、自己流でも正解できます。
しかし、内容が難しくなると、その方法では整理できない問題が出てきます。
先生が図を書くように伝えても、頭の中だけで考える。
途中式を書くように伝えても、答えだけを書く。
本文から根拠を探すように伝えても、自分の感じたことを書く。
この状態で教材だけを先へ進めても、同じところでつまずきます。
教わった方法が自分に合うかどうかを判断する前に、まずその通りに一度試してみる。
うまくいかなければ、どこで困ったのかを先生と確認する。
この行動が、新しい内容を学ぶときに必要です。
間違えた原因を確かめる
四つ目は、間違えた原因を確かめることです。
先取り学習では、早く次のページへ進むことが目標になりやすいものです。
間違えた問題に正しい答えを書き、丸がつけば終わりにする子もいます。
しかし、同じ不正解でも原因は異なります。
問題文を読み違えた。
計算方法を間違えた。
言葉の意味を知らなかった。
使う公式を選べなかった。
途中式を書かず、頭の中で混乱した。
解き方そのものを理解していなかった。
原因が違えば、やり直す内容も変わります。
正しい答えを書くだけではなく、
「なぜ間違えたのか」
「次は何を変えるのか」
を確認してください。
一冊を早く終えることより、同じ間違いを次の問題で減らせることが大切です。
最後は一人で解く
五つ目は、教わった問題を最後に一人で解くことです。
先生や保護者と一緒であれば解ける。
解説を見ながらなら解ける。
直前に教わった通りにまねれば解ける。
これらは、理解する途中の段階です。
そのまま次へ進むのではなく、何も見ず、助けてもらわずにもう一度解きます。
さらに、
数字が変わった問題。
聞かれ方が変わった問題。
少し時間を空けたあとの問題。
でも同じ考え方を使えるか確認します。
中学受験で必要なのは、先生が隣にいるときに解けることではありません。
試験会場で、自分一人で考えて答えを出すことです。
先取り学習でも、進んだページ数より、一人で解ける問題がどれだけ増えたかを見てください。
先取りを急がない方がよい子の様子
次のような様子がある場合は、先の学年へ進む前に、現在の学習行動を整える方がよいでしょう。
- 問題文を途中までしか読まない
- 説明中に解き始める
- 分からないとすぐに答えを聞く
- 教わった方法を使わず、毎回自己流で解く
- 間違えると答えを書き写して終わる
- 同じ形の問題しか解けない
- 前に習った内容をすぐ忘れる
- 保護者の方が横につかないと進まない
- 難しい問題を嫌がり、考える前に諦める
- 教材を早く終わらせることが目的になっている
この状態で先取りを続けると、できない問題が増えたときに、
「勉強しているのに分からない」
「自分は算数が苦手」
と感じることがあります。
先へ進むのを一度止めることは、後退ではありません。
教わったことを身につける行動を整えれば、その後は自分の力で進みやすくなります。
先取りが合っている子の様子
反対に、次のような様子があれば、先取りが本人の学びを広げていると考えられます。
- 現在の学年の基本問題を一人で解ける
- 新しい内容を知ることを楽しんでいる
- 説明を最後まで聞いてから取り組む
- 教わった方法を素直に試せる
- 間違えても落ち着いてやり直せる
- 分からないところを具体的に質問できる
- 少し形が変わった問題にも取り組める
- 学習によって睡眠や遊びの時間が崩れていない
- 保護者の方が教え続けなくても進められる
この場合は、学年だけで範囲を区切らず、本人が理解できる速さで先へ進んでもよいでしょう。
ただし、ただ簡単な計算を先へ進めるだけでなく、文章を読み、考え方を説明し、別の問題へ使う学習も一緒に行うことが大切です。
先取りするなら「できた」の基準を決めてください
先取り学習をするときは、何をもって一つの内容を終えたと考えるかを決めておく必要があります。
ページを最後まで埋めた。
一度丸がついた。
解説を読んで納得した。
これだけでは、できるようになったとは限りません。
ときわの塾では、
- 問題文を最後まで読めた
- 何を聞かれているか説明できた
- 教わった方法を使えた
- 間違えた原因を確認できた
- 似た問題でも使えた
- 最後は一人で解けた
という状態を大切にしています。
この基準で確認すれば、速く進めることが目的になりません。
必要なところは練習し、理解できたところは先へ進むという判断ができます。
家庭で先取りをするときに保護者が教えすぎない
家庭で先取りを始めると、保護者の方が先生の役割を担うことがあります。
最初は順調でも、内容が難しくなるにつれて、
「さっき教えたでしょう」
「どうして同じところを間違えるの」
「この式を書けばいいの」
という言葉が増えることがあります。
保護者の方が最後まで手順を伝えれば、教材は進みます。
しかし、子どもが一人で考える部分が少なくなり、誰かに教えてもらわなければ先へ進めない状態になることもあります。
家庭では、すぐに解き方を教えるよりも、
「問題は何を聞いているの?」
「どこまでは分かった?」
「習った方法で使えそうなものはある?」
「何を先生に聞けばよいかな?」
と、子どもの考えを整理する声かけにとどめてください。
本格的な説明が必要な内容は、学校や塾の先生へ任せて構いません。
家庭を授業の場にするより、子どもが落ち着いて学習を続けられる場所にすることも大切です。
小学校3年生までに急ぐのは学年ではなく学習行動です
中学受験を考えるなら、小学校3年生までに必ず何年生の内容まで終わらせなければならない、という考え方を、ときわの塾ではしていません。
先取りによって伸びる子には、先へ進める意味があります。
一方で、問題文を読まない、説明を聞かない、間違いを直さない状態で学年だけを進めても、後から同じ内容へ戻ることになります。
小学校3年生までに育てたいのは、
- 問題文を最後まで読む
- 人の説明を最後まで聞く
- 教わった方法を試す
- 間違えた原因を確かめる
- 最後は一人で解く
という五つの学習行動です。
この土台があれば、小学校4年生以降に新しい内容が増えても、教わったことを自分の力へ変えていけます。
中学受験の準備は、先の学年の問題を早く終えることだけではありません。
本格的な受験勉強が始まったときに、自分で学び続けられる状態をつくることも、大切な準備です。
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