漢字は読めるのに文章が分からない小学生へ
この記事の内容
漢字を正しく音読できても、その言葉の意味まで理解しているとは限りません。分からない言葉を飛ばしたまま読み進めると、一文ずつ声に出せていても、文章全体の内容はぼんやりしてしまいます。
音読できるために見落とされやすい語彙のつまずきと、読解問題を増やす前に必要な言葉の確認について、ときわの塾が解説します。

「漢字は読めているのに、文章の内容を理解できていません」
「音読はできるのですが、読み終わった後に内容を聞いても答えられません」
「国語の問題になると、本文とは違うことを答えています」
国語について、このようなご相談をいただくことがあります。
子どもに文章を音読してもらうと、止まらずに最後まで読めている。
漢字の読み方も、それほど間違っていない。
それでも問題を解かせると、文章の内容を正しくつかめていない。
このような場合、文章を読む速さや問題の解き方だけでなく、言葉の意味をどこまで理解しているかを確認する必要があります。
漢字を声に出して読めることと、その言葉の意味が分かることは同じではないからです。
漢字を読めると、理解できているように見えます
低学年の頃は、読めない漢字があると、子どもがどこで困っているのかが分かりやすいものです。
漢字の前で止まる。
違う読み方をする。
保護者や先生に読み方を聞く。
このような行動があるため、読み方を教えたり、ふりがなを確認したりできます。
ところが、漢字を声に出して読めるようになると、子どもが文章を理解しているように見えることがあります。
例えば、「適切」という言葉を「てきせつ」と読めていても、
「適切とは、どういう意味?」
と聞くと、説明できないことがあります。
「対照的」「納得」「工夫」「原因」「一方」なども、読めることと、文章の中で意味を理解できることは別です。
子ども自身も、読めている言葉を「分からない言葉」だとは思っていないことがあります。
そのため、意味を確認せずに読み進めてしまいます。
一つの言葉が分からないだけで文章が読めないとは限りません
文章の中に知らない言葉が一つあっても、前後の内容から意味を考えられることがあります。
すべての言葉を辞書のように説明できなければ、文章を読めないわけではありません。
しかし、意味が曖昧な言葉がいくつも重なると、文章全体の理解に影響します。
一文目の意味が少し曖昧になる。
次の文とのつながりが分からなくなる。
登場人物がなぜそのような行動をしたのか分からなくなる。
筆者が何を説明しているのか分からなくなる。
それでも子どもは、文字だけを追って最後まで音読できます。
その結果、「文章は読んだ」という状態にはなりますが、頭の中に内容が残りません。
読み終わった後に、
「どんな話だった?」
「この人は、なぜこんな行動をしたの?」
と聞かれても答えられないのは、集中していなかったからとは限りません。
文章を理解するために必要な言葉の意味を、十分につかめていなかった可能性があります。
分からない言葉を飛ばす読み方が習慣になることがあります
文章を読んでいる途中で知らない言葉が出てきたとき、子どもの行動はさまざまです。
立ち止まって意味を考える。
前後を読み直す。
先生に聞く。
辞書で調べる。
一方で、分からない言葉をそのまま飛ばす子もいます。
学校の授業やテストでは、文章を最後まで読まなければなりません。
周りの子も読み進めています。
そのため、分からない言葉があっても、立ち止まらずに先へ進むことを優先するようになります。
一度飛ばすだけなら、大きな問題にならないこともあります。
しかし、分からない言葉を毎回飛ばしていると、「意味を確認せずに文字だけを追う」という読み方が習慣になります。
文章が長くなり、内容が難しくなるほど、分からない部分が積み重なります。
最後まで読んだときには、何について書かれていたのか分からなくなってしまいます。
読解問題を増やしても、知らない言葉は分かるようになりません
文章の内容を理解できないとき、読解問題を追加したくなるかもしれません。
たくさん読めば、読むことに慣れる。
問題を繰り返せば、国語の点数も伸びる。
もちろん、さまざまな文章を読む経験は必要です。
しかし、分からない言葉を飛ばす読み方のまま問題だけを増やすと、別の文章でも同じことが起こります。
文章を読む。
意味が曖昧な言葉を飛ばす。
内容がよく分からないまま選択肢を見る。
なんとなく合いそうな答えを選ぶ。
間違えたら正解を書き写す。
これを繰り返しても、分からなかった言葉の意味や、文章を正確に読む行動は身につきません。
必要なのは、何問解いたかではなく、どの言葉で文章の理解が止まったのかを確認することです。
子どもが知っている言葉と、使える言葉は同じではありません
言葉を一度聞いたことがあっても、文章の中で正しく理解できるとは限りません。
なんとなく聞いたことがある。
会話の中で使われているのを知っている。
漢字を見れば読める。
しかし、自分で意味を説明したり、別の言葉に言い換えたりできない。
このような言葉は、子どもの中でまだ十分に使える状態になっていません。
例えば、文章に「しぶしぶ引き受けた」と書かれていたとします。
「しぶしぶ」を「嫌だったけれど、仕方なく」という意味で理解できれば、登場人物の気持ちや行動を考えられます。
ところが、「しぶしぶ」の意味が分からなければ、引き受けたという行動だけを見て、
「やりたかったから」
と答えてしまうかもしれません。
物語文で気持ちを読み違える原因が、気持ちを考える力ではなく、一つの言葉の意味にあることもあります。
説明文でも同じです。
「一方」「つまり」「そのため」などの言葉が果たす役割を理解していなければ、筆者の説明がどのようにつながっているのか分かりません。
語彙は、言葉をたくさん暗記することだけではありません。
文章の中で、その言葉が何を表しているのかを理解する力です。
ときわの塾では、読めたかではなく意味が分かったかを確認します
ときわの塾では、子どもが文章を音読できたことだけで、理解できているとは判断しません。
内容を正しくつかめていないときは、どの言葉から分からなくなったのかを確認します。
「この言葉は、どういう意味?」
「別の言葉で言うと、どうなる?」
「この場面では、どのような様子を表している?」
「この言葉があることで、前の文とどうつながっている?」
このように聞くと、読み方は分かっていても意味を理解していなかった言葉が見つかります。
意味を確認した後は、その一文だけで終わりません。
言葉の意味が分かることで、登場人物の気持ちや筆者の説明をどのように読み直せるのかまで確認します。
言葉を単独で覚えるだけでなく、文章全体の理解へつなげるためです。
分からない言葉に気づくことも読む力です
語彙を増やすためには、多くの言葉を知ることが必要です。
しかし、その前に大切なのが、
「この言葉の意味が分からない」
と自分で気づくことです。
意味が分からないまま読み進めている子は、自分がどこで文章を理解できなくなったのかも分かりません。
文章全体を読んだ後に「全部分からない」と感じてしまいます。
一方、分からない言葉に印をつけたり、先生へ質問したりできれば、確認する場所が明確になります。
分からないことは悪いことではありません。
分からないまま進めるのではなく、分からない場所を見つけられることが、文章を正確に読むための一歩です。
家庭で国語を教え込む必要はありません
ご家庭で、保護者が文章の内容をすべて説明する必要はありません。
分からない言葉が出るたびに保護者が先回りして教えると、子どもが自分で意味を考えたり、分からないことを伝えたりする機会が減ることがあります。
家庭では、文章を読んだ後に、
「今日、分からなかった言葉はあった?」
「この言葉は、どんな意味だった?」
と確認する程度でも構いません。
意味を説明できない言葉があれば、すぐに答えを教えるのではなく、前後の文章から考える、辞書で確かめる、学校や塾の先生に聞くという行動へつなげられます。
国語にかけられる時間が限られている場合は、学習を始める前に5ページ程度、または15分程度、声に出して丁寧に文章を読む方法もあります。
その中から、意味が分からなかった漢字や言葉を一日に少なくとも三つ見つける。
読み方だけでなく、文章の中でどのような意味で使われているかを確認する。
毎日少しずつ続けることで、意味を考えながら読む習慣につながります。
大切なのは、保護者が国語の先生になることではありません。
子どもが分からない言葉を飛ばさず、必要なときに自分で確認できるようにすることです。
語彙が増えると、ほかの教科の読み方も変わります
言葉の意味を理解する力は、国語だけで使うものではありません。
算数の文章題では、「合わせて」「残り」「差」「割合」などの言葉から、数量の関係を読み取ります。
理科や社会では、用語の意味を理解しながら説明文や資料を読みます。
中学生になると、問題文や解説で使われる言葉も難しくなります。
言葉の意味が分からなければ、計算方法や知識を持っていても、何を求められているのかを正しく理解できません。
だから、ときわの塾が育てたいのは、国語を伸ばすためだけの語彙ではありません。
全教科を伸ばすための読む力です。
漢字を読めることを、文章理解の出発点にしましょう
漢字を正しく読めることは、大切な力です。
しかし、声に出して読めたところで学習を終えるのではなく、
その言葉はどのような意味なのか。
その文では、どのように使われているのか。
前後の内容と、どうつながっているのか。
そこまで考えることで、文字を追うだけの音読から、内容を理解する読みに変わっていきます。
「漢字は読めているのに、文章の内容が分かっていない」
そのように感じたときは、読解問題を増やす前に、子どもが意味を理解できていない言葉がないかを確かめてみてください。
ときわの塾では、言葉の意味を一つずつ確認しながら、書かれていることを根拠に考えられる読み方を育てています。

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