国語で登場人物の気持ちを想像だけで答える子へ
この記事の内容
物語文で登場人物の気持ちを聞かれたとき、自分ならどう思うかを答えてしまう子がいます。しかし、国語の問題で必要なのは、自由な感想ではありません。
登場人物の言葉・行動・表情・場面の変化を根拠にして、「この言葉があるから、こう考えられる」と説明できる読み方について、ときわの塾が解説します。

「登場人物の気持ちを聞かれると、いつも間違えます」
「本文には書かれていないことを、想像して答えています」
「選択肢を見ると、どれも正しいように感じるようです」
国語の物語文について、このようなご相談をいただくことがあります。
子どもに答えの理由を聞くと、
「たぶん、悲しかったと思う」
「自分だったら、うれしいから」
「普通は、こう思うはず」
と説明することがあります。
子どもなりに、登場人物の立場を考えています。
しかし、その答えが本文に書かれている内容と合っているとは限りません。
国語の問題で登場人物の気持ちを考えるときに必要なのは、自分の経験だけをもとに想像することではありません。
文章の中に書かれている言葉を根拠にして考えることです。
「自分だったらどう思うか」と聞かれているわけではありません
日常生活では、相手の気持ちを想像することが大切です。
「こんなことを言われたら、悲しいだろう」
「助けてもらったら、うれしいだろう」
相手の立場に立って考えることは、人と関わるうえで必要な力です。
しかし、国語の問題で、
「このときの登場人物の気持ちを答えなさい」
と聞かれた場合、子ども自身の感想を自由に答えるわけではありません。
文章を書いた人は、登場人物の気持ちが読み取れるように、言葉や行動、場面の変化を文章の中に置いています。
そのため、答えは、
「自分なら、こう思う」
ではなく、
「本文にこの言葉があるから、登場人物はこう思っていると考えられる」
という形で考える必要があります。
気持ちが直接書かれているとは限りません
物語文では、
「太郎は悲しかった」
「花子はうれしかった」
と、気持ちがそのまま書かれていることもあります。
しかし、学年が上がるにつれて、気持ちが直接書かれていない文章が増えていきます。
登場人物が返事をしなかった。
下を向いた。
何度も同じものを見直した。
急に話題を変えた。
握っていた紙を、そっと机に置いた。
こうした言葉や行動から、登場人物の気持ちを考えます。
例えば、
太郎は何も言わず、握っていた手紙をそっと机の引き出しへ戻した。
と書かれていたとします。
ここから分かるのは、太郎が返事をせず、手紙を手放さず、見えない場所へ戻したことです。
なぜ何も言わなかったのか。
なぜ捨てずに引き出しへ戻したのか。
その前に、手紙を読んで何が起きたのか。
前後の文章と行動をつなげることで、太郎の気持ちを考えます。
「手紙をもらったら、普通はうれしい」
という自分の感覚だけでは、文章に合った答えにはなりません。
一つの言葉だけで気持ちを決めてしまう子もいます
本文から根拠を探していても、一つの言葉だけを見て答えることがあります。
「笑った」と書かれているから、うれしい。
「泣いた」と書かれているから、悲しい。
「走った」と書かれているから、急いでいる。
しかし、人はうれしいときだけに笑うとは限りません。
困ったときに笑ってごまかすこともあります。
安心して涙が出ることもあります。
相手に見つからないように、その場から逃げるために走ることもあります。
大切なのは、一つの言葉だけで気持ちを決めることではありません。
その言葉が書かれる前に何が起きたのか。
誰に対して、どのような行動をしたのか。
その行動の後、場面がどう変わったのか。
前後の内容をつなげて考える必要があります。
気持ちを表す言葉を探す前に、出来事を整理します
「どんな気持ちですか」と聞かれると、すぐに、
うれしい。
悲しい。
悔しい。
不安。
という気持ちを表す言葉を探す子がいます。
しかし、先に気持ちを決めると、その答えに合う言葉だけを本文から探してしまうことがあります。
まず確認したいのは、登場人物に何が起きたのかです。
何を期待していたのか。
実際には何が起きたのか。
誰の言葉や行動によって、状況が変わったのか。
出来事の前後で、登場人物の行動がどう変わったのか。
ここを整理してから、気持ちを考えます。
例えば、楽しみにしていた約束が守られなかった場合でも、気持ちは一つとは限りません。
約束を破られて悲しい。
理由を説明してもらえず腹が立つ。
何か事情があったのではないかと心配する。
自分が嫌われたのではないかと不安になる。
どの気持ちなのかは、文章に書かれた言葉や行動から判断します。
選択問題では「ありそうな気持ち」に注意します
物語文の選択問題には、読んだときに「ありそう」と感じる答えが並んでいます。
登場人物の立場を考えると、どれも間違っていないように見えることがあります。
しかし、国語の選択問題で確かめるのは、
その気持ちが人として自然かどうか
ではありません。
本文に書かれた内容と合っているかどうかです。
選択肢の中に、本文にはない理由が加えられていないか。
気持ちの向きが反対になっていないか。
出来事の順番が入れ替わっていないか。
一部は合っていても、後半に余計な内容が入っていないか。
本文と選択肢を一つずつ比べる必要があります。
「この気持ちもありそう」と考えるだけでは、選択肢を消せません。
本文のどの言葉と合うのか、どの部分が合わないのかを確認することが大切です。
記述問題では、気持ちだけを書いても足りないことがあります
気持ちを問う記述問題で、
「悲しい気持ち」
「うれしい気持ち」
とだけ書いても、十分な答えにならないことがあります。
なぜ、そのような気持ちになったのか。
何を期待していたのか。
どの出来事によって気持ちが変わったのか。
問題で求められている範囲に合わせて、理由まで書く必要があります。
例えば、
約束を楽しみにしていたのに、友達が来なかったため、悲しく思う気持ち。
というように、出来事と気持ちをつなげます。
ただし、本文に書かれていない理由を勝手に加えてはいけません。
必要な言葉を本文から見つけ、問いに合う形へ整えることが必要です。
想像することが悪いわけではありません
物語を読むとき、想像する力は必要です。
登場人物の立場に立つ。
書かれていない気持ちを考える。
場面の様子を頭の中に描く。
こうした行動があることで、物語を深く読めるようになります。
問題は、想像することではありません。
本文から離れた想像だけで答えを決めることです。
国語で求められる想像には、出発点があります。
登場人物の言葉。
行動。
表情。
周りの人物との関係。
場面の変化。
文章に書かれていることから考えられる範囲で想像します。
根拠のある想像と、自由な思いつきは同じではありません。
ときわの塾では「どこから考えたのか」を確認します
ときわの塾では、子どもが登場人物の気持ちを答えたとき、正解か不正解かだけを確認するのではありません。
「本文のどこから、そう考えたの?」
と聞きます。
根拠にした言葉を指せるか。
その言葉と気持ちをつなげて説明できるか。
前後の出来事を正しく捉えているか。
ここまで確認します。
根拠が見つからない場合は、すぐに正解を教えるのではなく、
登場人物に何が起きたのか。
その前後で行動がどう変わったのか。
どの言葉が普段と違うのか。
という順番で文章へ戻ります。
答えを覚えることが目的ではありません。
次の物語文でも、自分で本文へ戻り、根拠を探せるようになることが目的です。
家庭では、正しい気持ちを教える必要はありません
子どもが登場人物の気持ちを読み違えたとき、保護者が、
「この場面なら、悲しいに決まっているでしょう」
と答えを教える必要はありません。
大人には自然に分かる気持ちでも、子どもは文章のどこを見ればよいのか分かっていないことがあります。
答えだけを教えると、次の文章ではまた想像だけで答えてしまいます。
家庭では、
「本文のどこから、そう思ったの?」
と聞くだけでも構いません。
子どもが根拠を示せれば、その言葉と答えが合っているかを学校や塾で確認できます。
根拠を見つけられなければ、保護者が正解へ誘導するのではなく、
「どこを見ればよいか、先生に聞いてみよう」
とつなげれば十分です。
保護者が国語の先生になる必要はありません。
子どもが感覚だけで答えず、文章へ戻る習慣をつけることが大切です。
気持ちは、本文の言葉を根拠に考えます
物語文で登場人物の気持ちを読み違える子は、想像力がないとは限りません。
むしろ、さまざまな気持ちを考えられるからこそ、本文に書かれていないことまで想像している場合があります。
必要なのは、想像をやめることではありません。
文章に書かれている言葉を出発点にすることです。
登場人物に何が起きたのか。
何を言ったのか。
どのような行動をしたのか。
出来事の前後で何が変わったのか。
そのうえで、
「この言葉があるから、こう考えられる」
と説明できる答えを作ります。
「登場人物の気持ちを聞かれると、いつも間違える」
そのようなときは、気持ちを当てる練習を増やす前に、本文のどの言葉から考えたのかを確認してみてください。
ときわの塾では、自分の感覚だけで答えるのではなく、文章に書かれた言葉を根拠に考える読み方を育てています。

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