算数の文章題で図を書けない小学生へ|式を急がない練習
この記事の内容
算数の文章題で図を書けない子は、図の書き方だけが分からないとは限りません。
問題文の内容を把握する前から、「早く式を書かなければ」「答えを出さなければ」と考え、式を作ることに精いっぱいになっている場合があります。
このような子には、最初から式や答えを書かせません。問題文を読み、図だけを書かせ、その図が問題の内容と合っているかを一緒に照合します。
正しい図を書けるようになると、何算を使うかを当てなくても、式や答えが自然に見えてくることがあります。文章題を図で考えられるようになるまでの練習を、ときわの塾が解説します。

「文章題になると、何算を使えばよいか分からなくなります」
「図を書けばよいと教えても、すぐに式を書こうとします」
「数字を足したり引いたりしていますが、問題の内容は理解していないようです」
算数の文章題について、このようなご相談をいただくことがあります。
計算問題なら解ける。
足し算や引き算、掛け算や割り算の方法も知っている。
それでも、文章題になると式を立てられない。
このような子に、計算方法をもう一度教えても、変わらないことがあります。
つまずいているのは、計算ではないからです。
問題文を読み、書かれている状況を理解し、数字同士の関係を整理する前に、式と答えを出そうとしています。
図を使える子は、図を書くために問題文を読みます
文章題で図を使える子は、ただ問題文を眺めているのではありません。
何について書かれているのか。
何が分かっているのか。
それぞれの数字が何を表しているのか。
どちらが多いのか。
何が増えたのか。
何を求めるのか。
これらを図に表すために、問題文を読みます。
例えば、二つの長さを線で表すなら、どちらの線を長くするのかを考えなければなりません。
一つ分の数と人数を図にするなら、同じ数のまとまりがいくつあるのかを読み取る必要があります。
図を書くためには、問題文を丁寧に読む必要があります。
つまり、図は読んだ後に付け加えるものではありません。
問題文を正確に読むための目的になります。
図を使えない子は、答えを出すことに精いっぱいです
一方で、図を使えない子は、問題を見た瞬間から式を探しています。
数字が二つある。
足せばよいのか。
引けばよいのか。
「多い」と書いてあるから足し算なのか。
前に解いた問題と似ているから掛け算なのか。
問題文の状況を理解するより先に、何算を使うかを決めようとします。
そのため、
「まず図を書いてみよう」
と伝えても、図を書かずに式を書こうとします。
本人は早く問題を解こうとしています。
しかし実際には、式を書くことに意識を使いすぎて、問題文を読む余裕がなくなっています。
文章題を解くことが、
問題文を理解して式を作ること
ではなく、
書かれている数字を使って、正しそうな式を作ること
になっているのです。
「式を書けば答えを出せる」という思い込みがあります
文章題では、式を書いて答えを出します。
そのため、子どもが式を書こうとすること自体は不自然ではありません。
問題は、式が問題文を理解した後に作るものではなく、答えを出すために最初に書くものだと思っていることです。
この思い込みがあると、問題文を理解できていなくても、とにかく式を書こうとします。
8と3が書かれていれば、
8+3
8-3
8×3
8÷3
のどれかを書けばよいと思ってしまいます。
偶然正解することもあります。
しかし、なぜその式になるのかを説明できなければ、少し問題が変わっただけで解けなくなります。
式は、問題文から読み取った数量の関係を、算数の記号で表したものです。
数量の関係を理解していなければ、安定して正しい式を書くことはできません。
図が間違っているのに、正しい式は書けません
文章題の図は、問題文の内容を見える形にしたものです。
どちらが多いのか。
どこが一つ分なのか。
同じ数がいくつ分あるのか。
全体と部分がどのような関係なのか。
どれだけ増えたり減ったりしたのか。
これらが正しく図に表されていれば、問題文の内容を把握できている可能性が高くなります。
反対に、図が問題文と合っていなければ、数量の関係を正しく捉えられていません。
その状態で式を書かせても、正解を当てる練習になります。
偶然正しい式を書けることはあります。
しかし、それは次の問題でも使える考え方にはなりません。
だから、ときわの塾では図を書くことが難しい子に、最初から式や答えを書かせないことがあります。
最初は、式も答えも書かせません
文章題を見るとすぐ式を書こうとする子には、いったん式と答えを出すことから離れてもらいます。
その問題で取り組むのは、図を書くところまでです。
式は書きません。
答えも出しません。
問題文を読み、書かれている状況を図に表します。
そして、書いた図を一緒に確認します。
「この線は何を表していますか」
「8は何の数ですか」
「3は何を表していますか」
「問題文では、どちらが多いと書かれていますか」
「図でも、こちらのほうが多くなっていますか」
「何を求める部分ですか」
このように、問題文と図を一つずつ照合します。
正しい式を書けたかどうかではなく、問題文の内容を正しく図にできたかどうかを見ます。
図だけを確認すると、読み違えた場所が分かります
式と答えまで一度に書かせると、子どもがどこで間違えたのか分かりにくくなります。
問題文を読み違えたのか。
数字の意味を取り違えたのか。
数量の関係は理解していたが、何算を使うか間違えたのか。
最後の計算だけを間違えたのか。
複数の作業が重なるため、つまずいた場所が隠れてしまいます。
最初に図だけを書かせれば、問題文をどのように理解したのかが見えます。
赤いリボンのほうが長いのに、青いリボンを長く書いている。
「3cm長い」の3cmを、青いリボン全体の長さとして書いている。
一人分の数と、全体の数を同じものとして書いている。
求める部分が、図の中に表されていない。
図を見ることで、どの言葉や関係を読み違えたのかを確認できます。
間違った図を消して正しい図を見せるだけではありません。
問題文のどの言葉から、その図になるのかを一緒に確かめます。
正しい図が書けると、式を当てる必要がなくなります
小学生の文章題では、問題文は複雑に見えても、使う計算そのものは難しくないことが多くあります。
足す。
引く。
掛ける。
割る。
これらの計算方法を知っていても文章題を解けないのは、どの数量をどのように関係づければよいのかが見えていないからです。
正しい図が書けると、数量の関係が目で見えるようになります。
全体と二つの部分が見えれば、足すのか引くのかが分かります。
同じ数のまとまりがいくつもあれば、掛け算の関係が見えます。
全体を同じ数ずつに分けていれば、割り算の関係が見えます。
場合によっては、図を見た時点で答えが分かります。
これは、式が必要ないという意味ではありません。
学校の問題では式を書く必要がありますし、自分の考えを残すためにも式は大切です。
ただし、正しい図があれば、
「足し算か、引き算か」
と当てる必要がなくなります。
式は、図に表した関係を算数の記号へ置き換えたものになります。
「図を書けば分かる」という経験を積ませます
図を書くことに慣れていない子は、図を書く意味を感じていません。
本人にとっては、
問題を解く。
式を書く。
答えを出す。
これだけで十分だと思っています。
そこへ図を書くように言われると、答えを出すまでの余計な作業が増えたように感じます。
だから、図を書きたがりません。
必要なのは、「図を書きなさい」と繰り返すことだけではありません。
図を書いたことで、
問題文の意味が分かった。
どちらが多いか分かった。
何を計算すればよいか見えた。
答えが分かった。
という経験を積ませることです。
最初は先生と一緒に図を書いても構いません。
次は、図の一部を子どもに書かせます。
その次は、子どもが書いた図を問題文と照合します。
少しずつ、自分で図を書ける部分を増やしていきます。
図を書くことで問題が簡単に見える経験が増えると、子ども自身が図を使おうとするようになります。
きれいな図を書くことが目的ではありません
図を書くことが苦手な子に、最初から完成された線分図を求める必要はありません。
線が少し曲がっていても構いません。
丸や四角、短い線、矢印でも構いません。
大切なのは、
何を表しているのか。
数字がどこに対応しているのか。
数量同士がどのような関係なのか。
求める部分がどこなのか。
を本人が説明できることです。
見栄えのよい図を写すだけでは、問題文を理解したことにはなりません。
反対に、簡単な図でも問題文の関係が正しく表されていれば、考えるための道具として役立っています。
図を書くために、問題文を何度も読みます
図を書こうとすると、一度読んだだけでは分からない部分が出てきます。
誰が持っている数なのか。
どちらが多いのか。
何個増えたのか。
最初の数なのか、変化した後の数なのか。
全体を求めるのか、一部分を求めるのか。
図のどこに書けばよいか分からなければ、問題文へ戻ります。
この行き来が、文章題を丁寧に読む練習になります。
ただ「よく読みなさい」と言われても、子どもは何のために読み直すのか分からないことがあります。
しかし、
「この数字を図のどこに書くのか」
「どちらの線を長くするのか」
を決めるためなら、読む目的がはっきりします。
図を書くことは、絵や線を書く練習だけではありません。
問題文に書かれた言葉を、正確に捉える練習でもあります。
ときわの塾が文章題で行う順番
図を使うことが難しい子には、次の順番で練習します。
1.式と答えを書くことをいったん止める
何算かを当てることから離れ、問題文の内容を理解することへ意識を向けます。
2.何を求めるのか確認する
問題文の最後まで読み、答えるものと単位を確かめます。
3.数字が何を表すのか言葉にする
数字だけを拾わず、「誰の数」「何の長さ」「いくつ分」なのかを確認します。
4.問題文を図に表す
線、丸、囲み、矢印などを使い、数量の関係が見える形にします。
5.図と問題文を照合する
問題文の一つひとつの条件が、図の中に正しく表されているか確認します。
6.図から答えを考える
数量の関係が正しく表されていれば、何を計算すればよいかが見えてきます。
7.最後に式を書く
図で確認した関係を、算数の式に置き換えます。
この順番を繰り返しながら、
「数字を見て式を作る」
状態から、
「問題文を理解し、図で整理してから式を書く」
状態へ変えていきます。
家庭では、式より先に図を見てください
家庭で文章題の答え合わせをするとき、式が正しいかどうかだけを見ると、偶然の正解を見逃すことがあります。
式を見る前に、子どもへ尋ねてみてください。
「どのような場面ですか」
「この数字は何を表していますか」
「図では、どちらが多くなっていますか」
「この線や丸は何を表していますか」
「求めるものは、図のどこですか」
子どもが図を説明できれば、問題文の内容を捉えられている可能性があります。
図が問題文と合っていなければ、式を直す前に読み違えた場所へ戻ります。
ただし、家庭で正しい図をすべて教える必要はありません。
分からない場所を明らかにし、学校や塾で質問できる状態にするだけでも、次の学習につながります。
図が書ければ、式は後からついてきます
文章題で図を書けない子に必要なのは、何算を使うかを何度も覚えることではありません。
式と答えを急ぐ行動をいったん止める。
問題文を読む。
数字の意味を確認する。
数量の関係を図に表す。
図が問題文と合っているかを照合する。
図から分かることを言葉にする。
最後に式を書く。
この経験を一つずつ積むことです。
図が正しく書けない状態で、正しい式を安定して書くことはできません。
反対に、問題文の内容を正しく図に表せるようになると、式を当てる必要はなくなります。
何を計算すればよいのかが、図から見えてくるからです。
ときわの塾では、答えを早く出すことだけを求めません。
問題文を読み、数量の関係を整理し、自分で式を作れるようになるまでの行動を育てます。
点数を追いかける塾ではありません。
点数につながる行動を育てる塾です。
「文章題を見ると、すぐに式を書こうとする」
「図を書かせようとしても、答えを出すことに精いっぱいになる」
そのようなときは、最初から式と答えを書かせず、問題文を図に表すところから始めてみてください。

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