同じ説明を聞いても伸びる子と伸びない子がいる理由|できる子の思考を言葉にする
この記事の内容
同じ説明を聞いても、すぐに使える子と使えない子がいます。その違いを理解力や努力の差だけで判断することはできません。できる子が無意識に行っている考え方を、具体的な言葉と行動に分けて伝える必要性を、ときわの塾が解説します。
中心テーマ:
できる子は、説明を聞くだけでなく、大切な部分を見分け、教わった方法を試し、間違いを修正しながら別の問題にも使っている。その無意識の思考を言葉にして伝えることで、学び方が分からなかった子も行動を変えられる。
対象となる保護者様:
授業は真面目に聞いているのに、教わった内容を一人で使えず、同じ間違いを繰り返すお子さまの保護者様。

「同じ授業を受けているのに、できる子とできない子がいるのはなぜでしょうか」
「先生の説明は聞いているはずなのに、うちの子は一人になると解けません」
「教えてもらった方法を、次の問題では使っていません」
子どもたちを指導していると、このような違いを目にします。
同じ場所で、同じ説明を聞いている。
同じ問題にも取り組んでいる。
それでも、一度の説明でできるようになる子もいれば、何度説明しても同じところで止まる子もいます。
この違いを、
「理解力が違うから」
「集中して聞いていないから」
「努力が足りないから」
だけで終わらせてしまうと、できない子は何を変えればよいのか分かりません。
私は、できる子が説明を聞いている間に、何を考え、どのように行動しているのかを具体的に伝える必要があると考えています。
教えただけで安定して伸びる子は多くありません
私がこれまで子どもたちを指導してきた感覚では、一度説明しただけで、その内容を別の問題にも使える子は3割にも満たないと思います。
一度教えればできる子は、説明された知識を覚えているだけではありません。
先生が話している内容の中から、大切な部分を見つける。
自分の解き方と、教わった解き方の違いを確認する。
教わった方法を、そのまま試してみる。
間違えたときは、どこで違ったのかを探す。
数字や聞かれ方が変わっても、同じ考え方を使ってみる。
こうした行動を、自然に行っています。
しかし、すべての子が同じようにできるわけではありません。
何を聞けばよいのか。
どこを真似すればよいのか。
教わったあとに何をすればよいのか。
そこから伝えなければならない子もいます。
現在の教え方は「できる子の行動」を前提にしていることがあります
教える側は、自分ができるようになった方法を子どもにも伝えます。
説明を聞く。
例題を見る。
同じように問題を解く。
間違えたら直す。
一見すると、分かりやすい流れです。
しかし、この流れの中には、言葉にされていない行動がたくさんあります。
「説明を聞く」だけでも、できる子は、
- 何についての説明なのかを考える
- 大切な言葉を見つける
- 自分が知らなかった部分を探す
- 先生がしていることを順番に見る
- あとで自分も使えるように覚える
ということをしています。
一方、学び方が分からない子は、先生の話を耳で聞いていても、何を残せばよいのか分かっていません。
説明が終わったときに、
「分かりました」
とは答えます。
しかし、いざ一人で取り組むと、何から始めればよいのか分からなくなります。
これは、説明を聞く意思がなかったからとは限りません。
説明をどのように聞き、自分の行動へ変えればよいのかを教わっていないのです。
「よく見て真似しなさい」だけでは伝わりません
学習では、教わった方法を真似することが必要です。
ただし、真似するという意味も、子どもによって異なります。
先生が書いた式を写す。
答えを同じにする。
ノートの見た目を合わせる。
これも表面的には真似をしています。
しかし、本当に真似してほしいのは、正解にたどり着くまでの考え方と行動です。
例えば、算数の文章題なら、
問題文を最後まで読む。
何を求めるのかを確認する。
分かっている条件を整理する。
必要なら図に書く。
数字の関係を考えてから式を作る。
この順番を真似する必要があります。
式だけを真似しても、数字や聞かれ方が変われば使えません。
「先生と同じようにしなさいや聞かれ方が変われば使えません。
「先生と同じように」ではなく、「どの行動を、どの順番でするのか」まで伝えなければ、真似できない子がいるのです。
できる子が自然にしている5つの行動
ときわの塾では、できる子が自然に行っている学習行動を、大きく五つに分けて伝えています。
何を学ぶのかを確認する
説明を聞く前に、今から何について学ぶのかを確認します。
算数なら、
「今日は何算を使うか覚えるのではなく、数字同士の関係を考えます」
国語なら、
「今日は本文の内容全部ではなく、問いで聞かれていることに答えます」
というように、学ぶ目的を明確にします。
目的が分からないまま説明を聞くと、子どもは先生が書いた式や答えだけを覚えようとします。
最初に見る場所を決めることで、説明の受け取り方が変わります。
自分の方法との違いを見つける
説明を聞いたあと、
「先生はこうしました」
と確認するだけでは不十分です。
「自分のやり方と、どこが違ったのか」
を探します。
問題文を最後まで読んでいなかった。
図を書かずに式を作っていた。
問いに合う言葉で答えていなかった。
途中式を省いたため、計算を間違えた。
この違いが分かれば、次に何を変えればよいかが明確になります。
違いを見つけないまま正しい答えだけを書き直しても、次の問題では元の方法に戻ります。
教わった方法を、そのまま試す
子どもに新しい方法を教えても、
「自分のやり方のほうが早い」
「前はこれでできた」
と、すぐに元の方法へ戻ることがあります。
しかし、教わった方法が自分に合うかどうかは、実際に試さなければ分かりません。
まずは、に試さなければ分かりません。
まず先生が伝えた順番で問題に取り組む。
途中で自分のやり方を加えず、一度はそのまま使ってみる。
そのうえで、どこが分かりやすかったのか、どこで困ったのかを確認します。
工夫するのは大切です。
ただし、教わった方法を試さないまま自己流へ戻ることは、工夫とは違います。
正しい方法を使えるようになったあとに、自分に合う形へ整えていく必要があります。
間違えた原因を確認する
できる子は、間違えたときに答えだけを見ません。
なぜ間違えたのかを考えます。
計算方法を知らなかったのか。
問題文を読み違えたのか。
条件を一つ見落としたのか。
教わった方法を使わなかったのか。
途中で焦ってしまったのか。
原因によって、次にすることは変わります。
計算方法を知らなければ、方法を覚える必要があります。
問題文を読み違えたなら、読む場所や印のつけ方を変えます。
教わった方法を使わなかったなら、もう一度その方法で解き直します。
原因を確認しないまま問題数を増やしても、同じ間違いを繰り返します。
別の問題でも使えるか確かめる
教わった問題ができても、それだけでは本人の力になったとはいえません。
数字が変わった問題。
聞かれ方が変わった問題。
少し条件が増えた問題。
時間を空けて、もう一度出された問題。
このような場面でも、同じ考え方を使えるか確かめます。
できる子は、教わった内容を別の問題へ移して使っています。
学び方が分からない子には、
「今の問題と、前の問題のどこが同じ?」
「前に教わった方法の中で、今回も使えるものは何?」
と、つながりを言葉にして伝えます。
一問の答えを覚えるのではなく、別の問題でも使える考え方を見つけることが大切です。
国語でも同じことが起きています
教わった方法を再現できない問題は、算数だけではありません。
国語の記述問題で、
「問いに合う言葉で答えよう」
と説明したとします。
説明を聞いている間は、問いに合う答えを書けます。
ところが、次の問題では、本文から関係がありそうな一文をそのまま書き抜きます。
この子は、説明を忘れたとは限りません。
「問いで何を聞かれているか確認する」
「答えの最後を先に決める」
「本文から根拠を探す」
という考える順番まで再現できていないのです。
漢字や語句を覚えるだけでなく、どのように読んで答えを作るのかを具体的に伝える必要があります。
できない子に「考えなさい」と言っても変わりません
問題が解けない子に、
「もっとよく考えなさい」
「前にも教えたでしょう」
「先生の話をしっかり聞きなさい」
と伝えることがあります。
しかし、子どもが困っているのは、考える気持ちがないことではなく、何をすれば考えたことになるのか分からないことかもしれません。
問題文へ戻る。
条件に印をつける。
分かっていることを図にする。
自分の方法と先生の方法を比べる。
間違えた場所を探す。
別の問題で使ってみる。
このように、「考える」を具体的な行動に変える必要があります。
できる子は自然に行っているため、教える側も説明する必要がないと思ってしまいます。
しかし、自然にできない子にとっては、その言葉にされていない部分こそが必要です。
できる子の思考を言葉にすれば、できる子は増やせます
私は、現在の教育が一部のできる子だけに合っているとは考えたくありません。
これまで伝えられてこなかった学び方を、具体的に説明すれば、できるようになる子は増やせると考えています。
一度の説明で理解できなくてもよい。
教わった方法をすぐに使えなくてもよい。
最初は、先生に言われながら行動しても構いません。
大切なのは、
「この子には理解する力がない」
と決めることではありません。
どの行動ができていて、どの行動が分からないのかを見つけることです。
聞き方が分からなければ、聞き方を伝える。
真似する場所が分からなければ、見る場所を伝える。
間違いの直し方が分からなければ、原因の探し方を伝える。
一人で使えなければ、別の問題でもう一度試す。
できる子が無意識に行っていることを、一つずつ言葉にして渡していきます。
ときわの塾が育てたいのは、教わったことを使える子です
知識を教えることは大切です。
しかし、知識を聞いただけでは、本人の力になりません。
説明を最後まで聞く。
大切なことを見つける。
教わった方法を試す。
自分の間違いを確認する。
別の問題でも使ってみる。
こうした行動ができて、初めて教わったことが本人の力へ変わります。
ときわの塾は、点数だけを追いかける塾ではありません。
点数につながる行動を育てる塾です。
同じ説明を聞いても伸びない子には、説明を繰り返すだけでなく、できる子がどのように聞き、考え、試しているのかを具体的に伝えます。
これまで自然にはできなかったことも、行動として分かれば練習できます。
できる子だけが知っていた学び方を、すべての子に分かる言葉で伝える。
それが、ときわの塾が大切にしている指導です。
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