「うちの子はやる気がない」と叱る前に|見えている行動を確かめる
「勉強を始めようとしない。」
「始めても、すぐに手が止まる。」
「何度言っても同じことを繰り返す。」
このような様子が続くと、「うちの子はやる気がない」と感じることがあるかもしれません。
しかし、「やる気がない」は、お子さんの状態を見た人の評価です。実際には、何から始めればよいか分からない、問題が難しすぎる、間違えることを怖がっているなど、別の理由で動けなくなっていることがあります。
お子さんを叱る前に、どのような事実を確認すればよいのでしょうか。ときわの塾が解説します。

「やる気がない」は事実ではありません
保護者の方から、
「うちの子は、やる気がないんです。」
とご相談をいただくことがあります。
実際に、机へ向かおうとしないこともあります。
問題を解き始めても、すぐに鉛筆が止まることもあります。
宿題を後回しにして、何度も声をかけなければ始めないこともあります。
しかし、ここで確認したいのは、
「やる気がないように見えたとき、実際に何が起きていたのか」
ということです。
「やる気がない」は、お子さんの行動を見た人の解釈です。
事実は、
- 勉強を始めるまでに30分かかった
- 一問目を読んだあと、鉛筆が止まった
- 分からない問題を飛ばさず、そこで止まり続けた
- 宿題の内容を確認しないまま「分からない」と言った
- 間違えた問題のやり直しを避けた
という、実際に起きている行動です。
私は、最初から「この子はやる気がない」とは考えません。
まずは、どの場面で、どのように手が止まったのかを見ます。
勉強を始めない理由は一つではありません
同じように勉強を始めない子でも、その理由は違います。
何をすればよいのか分からない子がいます。
宿題の量を見ただけで、「全部できない」と感じている子もいます。
以前に間違えて叱られた経験から、取り組む前に避けようとする子もいます。
学校や習い事で疲れ、集中できる状態ではないこともあります。
自分の力では難しい内容を前にして、どこから手をつければよいか分からなくなっていることもあります。
このような状態をすべて「やる気がない」とまとめてしまうと、その子に必要な対応が分からなくなります。
必要なのは注意ではなく、最初に取り組む問題を一緒に決めることかもしれません。
問題を一問ずつに分けることかもしれません。
少し前の内容へ戻り、自分で解けるところから始めることかもしれません。
理由が違えば、必要な働きかけも変わります。
手が止まった場面を確認します
例えば、算数の宿題を始めたあと、すぐに鉛筆が止まったとします。
その姿だけを見ると、集中していないように見えるかもしれません。
しかし、実際に確認すると、
問題文に知らない言葉があった。
何を求める問題なのか分からなかった。
図の意味を読み取れなかった。
使う公式を選べなかった。
一問目が分からず、その先へ進めなくなった。
ということがあります。
この場合、「集中しなさい」と言われても、子どもは次に何をすればよいのか分かりません。
問題文の分からない言葉を確認する。
分かっている条件に線を引く。
何を求められているかを言葉にする。
解けない問題には印をつけ、次の問題へ進む。
このように、止まった原因に合わせて次の行動を具体的にします。
間違いを直さない子にも理由があります
間違えた問題のやり直しを嫌がると、「面倒なことから逃げている」と見えることがあります。
もちろん、本当に面倒だと感じていることもあります。
しかし、それだけではありません。
答えを見ても、どこを間違えたのか分からない。
解説を読んでも理解できない。
もう一度解いて、また間違えることが怖い。
何をどこまで直せば終わるのか分からない。
このような理由で、やり直しを避けている子もいます。
その場合は、ただ「やり直しなさい」と伝えるのではなく、
- 最初に間違えた場所を探す
- 分からないところを言葉にする
- 解説を一緒に確認する
- 何も見ずにもう一度解く
- 次の日に同じ考え方を使えるか確かめる
という手順を教える必要があります。
やり直し方が分かれば、自分から取り組めることもあります。
「何度言っても直らない」場合も行動を見ます
「途中式を書きなさい。」
「問題を最後まで読みなさい。」
「見直しをしなさい。」
何度伝えても、同じことを繰り返す子がいます。
このときも、すぐに「話を聞いていない」「直す気がない」とは判断しません。
途中式のどこまでを書けばよいか分かっているか。
問題を読むときに、何を確認すればよいか分かっているか。
見直しと答えを眺めることの違いを理解しているか。
教わった行動を、次の問題でも一人で実行できるか。
ここまで確認します。
大人にとっては「丁寧に解く」という一つの行動でも、子どもにとっては具体的な方法が分からないことがあります。
できていない行動を責めるだけではなく、実際にできる形まで細かく伝える必要があります。
点数が同じでも、確認することは違います
同じテストで80点だったとしても、失点した理由は一人ひとり違います。
計算方法を理解していなかった子。
問題文の条件を読み落とした子。
一問に時間を使いすぎた子。
途中式を書かず、暗算で間違えた子。
答えは分かっていたのに、単位を書き忘れた子。
分からない問題で止まり、最後まで解けなかった子。
点数だけを見ても、次に何を改善すればよいかは分かりません。
答案と解いている様子の両方を見ることで、その子が次に直すべき行動が見えてきます。
事実が分かれば、叱る前にできることがあります
「やる気がない。」
「注意力がない。」
「何度言っても聞かない。」
このような言葉だけでは、お子さんは自分の何を変えればよいのか分かりません。
一方で、
「分からない問題で10分間止まっていた。」
「途中式を書かずに計算していた。」
「問題文の最後の一文を読んでいなかった。」
という事実が分かれば、次の行動を具体的に決められます。
例えば、
- 三分考えて分からなければ印をつける
- 計算では途中式を一行残す
- 問題文の最後まで読んでから式を書く
- 宿題を始める前に、取り組む順番を決める
- 間違えた原因を一つだけ言葉にする
このように、子ども自身が実行できる行動へ変えていきます。
私が見ているのは、お子さんを評価するためではありません
私は、お子さんの欠点を探すために、学習中の様子を見ているのではありません。
手が止まったのはどこか。
何を分からないまま進めたのか。
教わった方法を試せたのか。
間違えたあと、何を確認したのか。
それらを確かめるのは、
「次はどうすれば一人でできるのか」
を一緒に考えるためです。
「やる気がない子」と決めてしまえば、そこで考えることが止まってしまいます。
しかし、実際に起きている行動を見れば、変えられる部分が見つかることがあります。
ときわの塾では、印象や点数だけでお子さんを判断せず、答案と学習中の行動から事実を確かめます。
そのうえで、その子が次に改善することを具体的に決めていきます。
それが、ときわの塾が大切にしている指導です。
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