中学受験で応用問題が解けない子へ|難問演習より先に確認すること
この記事の内容
中学受験の応用問題が解けないと、難しい問題をさらに増やしたくなるかもしれません。
しかし、問題文の読み方、条件整理、必要な基礎、解説後の解き直しのどこで止まっているかによって、必要な練習は変わります。難問演習を増やす前の確認方法を、ときわの塾が解説します。
対象となる保護者様
- 中学受験の応用問題になると手が止まる
- 難しい問題をもっと解かせるべきか迷っている
- 解説を聞けば分かるが、一人では解けない
- 問題集を増やしているのに、応用力がつかない
- 基本問題へ戻る時間がないと感じている

応用問題が解けないなら、難問演習を増やすべきでしょうか
「中学受験では難しい問題が出るので、早く応用問題へ進んだ方がよいのでしょうか」
「簡単な問題へ戻っている時間はないのではないでしょうか」
中学受験を考えている保護者の方が、このような不安を持たれることがあります。
確かに、中学受験では、すぐに解き方が見えない問題や、複数の条件を組み合わせる問題が出題されます。
そのため、応用問題へ取り組む練習は必要です。
しかし、応用問題で止まった原因を確認せず、難しい問題だけを増やしても、自分で解ける問題が増えるとは限りません。
応用問題を解くためには、
- 問題文を最後まで読む
- 何を聞かれているか確認する
- 分かっている条件を書き出す
- 使える知識や解き方を選ぶ
- 考えた途中を図や式に残す
- 間違えた場所を確認する
- 解説を閉じて、もう一度解く
という複数の行動が必要です。
どこで止まっているかによって、必要な練習は変わります。
「応用力がない」だけでは、原因が分かりません
子どもが応用問題を解けなかったとき、
「考える力がない」
「応用力が足りない」
とまとめてしまうことがあります。
しかし、実際に問題を解く様子を見ると、止まっている場所は一人ひとり違います。
- 問題文を途中までしか読んでいない
- 問いを確認せず、数字だけを見ている
- 条件が多くなると頭の中だけでは整理できない
- 図に条件を書き込んでいない
- 使う可能性がある公式を思い出せない
- 基本問題なら解けるが、聞かれ方が変わると使えない
- 解説を読んで理解したところで終わっている
これらは、すべて同じ「不正解」になります。
しかし、必要な対応は同じではありません。
条件を整理できない子に、公式をもう一度覚えさせても変わりません。
基礎となる計算で止まっている子に、さらに複雑な応用問題を与えても、考える前の段階で止まります。
まずは、正解できなかったという結果ではなく、どこで鉛筆が止まったのかを確認します。
問題文を読んだ後、何を書いているでしょうか
中学受験の応用問題では、文章が長くなり、条件も増えます。
問題文を一度読んだだけで、すべての条件を頭の中に残して考えるのは難しいことです。
それでも、応用問題が苦手な子ほど、
- 問題文へ線を引かない
- 条件を書き出さない
- 図に数字を入れない
- 分かったことを途中式に残さない
- 必要な情報をすべて頭の中で処理する
という解き方をしていることがあります。
例えば、図形問題なら、
- 分かっている角度を書く
- 同じ長さに印を付ける
- 平行や垂直の条件を書き込む
- 新しく分かったことを図へ追加する
という行動によって、自分で使えるヒントを増やせます。
問題が難しいから書くのではありません。
難しい問題だからこそ、頭の中にある情報を目に見える形へ変えます。
まず「何を聞かれているか」を確認します
条件をたくさん読み取っても、問いを正確に確認できていなければ、必要なものを選べません。
例えば、速さの問題でも、
- 速さを求めるのか
- 時間を求めるのか
- 距離を求めるのか
- 二人が出会う時刻を求めるのか
- 距離の差を求めるのか
によって、整理する内容は変わります。
問題文を読んだ後に、
この問題で最後に求めるものは何?
と確認します。
答えられなければ、考える力以前に、問いを正確に捉えられていません。
何を求めるかが分かれば、そのために必要な条件と、今は使わない条件を分けやすくなります。
条件を写すだけでなく、関係を整理します
応用問題では、問題文に書かれた数字をすべて使うとは限りません。
また、数字を図へ写しただけでは、どの数字とどの数字が関係しているか分からないことがあります。
そこで、
- 全体と一部分
- 一つ分といくつ分
- もとの量と変化後の量
- 二つの量の差
- 時間・速さ・距離
- 割合・もとにする量・比べる量
などの関係を整理します。
このとき、先生が完成した図を書けば、その問題は解けるかもしれません。
しかし、次の問題でも一人でできるようにするためには、本人が問題文から条件を選び、自分で図へ移す必要があります。
最初は先生と一緒に行います。
次は、声をかけられれば自分で行います。
その後、先生が何も言わなくても、自分から条件を整理できるかを確認します。
基本問題が解けるだけでは、応用問題に使えるとは限りません
基本問題で公式を使えていても、応用問題になると、その公式を使うことに気づかない場合があります。
これは、公式をまったく知らないわけではありません。
基本問題では、
- 単元名が分かっている
- 使う公式が予想できる
- 必要な数字だけが書かれている
- 例題と同じ順序で出題されている
ため、解きやすくなっています。
応用問題では、どの知識を使うのかを自分で選ばなければなりません。
そのため、
この公式を覚えている?
だけでなく、
問題文のどの部分から、この公式を使えると思った?
と確認します。
公式を知っていることと、目の前の問題に合わせて選べることは別です。
必要な基礎が抜けている場合は、そこだけ戻ります
応用問題で止まったからといって、受験算数を最初からすべてやり直す必要はありません。
例えば、割合の応用問題で止まった場合でも、
- 割合の意味が分からない
- もとにする量を選べない
- 小数と百分率を直せない
- 分数の掛け算で間違える
- 図に数量関係を表せない
など、原因は異なります。
分数計算だけで止まっているなら、その計算へ戻ります。
割合の三つの量を区別できないなら、基本問題へ戻って関係を確認します。
計算も基本問題もできるなら、条件を図へ移す練習が必要です。
「応用問題ができないから基礎から全部」ではなく、最初に一人でできなくなった場所まで戻ります。
解説を聞いて「分かった」で終えていませんか
中学受験の難しい問題では、解説を聞くことも必要です。
まだ知らない考え方や、現在の力だけでは気づきにくい工夫があります。
問題は、教えてもらうことではありません。
解説を聞いて、
「なるほど」
「分かった」
と思ったところで学習を終えることです。
説明を聞いているとき、子どものそばには多くの手掛かりがあります。
- 最初に見る場所を教えてもらえる
- 必要な条件を指してもらえる
- 完成した図を見ることができる
- 次に使う式を示してもらえる
- 間違いそうになると声をかけてもらえる
この状態で解けても、一人で解けるようになったとは限りません。
解説後に確認するのは、答えではなく最初の一歩です
解説を聞いた後は、解答や先生の式を閉じます。
そのうえで、最初からもう一度解きます。
確認するのは、最終的な答えだけではありません。
- 問いを自分で確認できたか
- 必要な条件を自分で選べたか
- 図を最初から書けたか
- 最初に使う考え方を自分で決められたか
- 教わった工夫を自分から使えたか
- 途中で止まった場所を説明できたか
を見ます。
手が止まった場合は、もう一度すべてを説明するのではありません。
どの手掛かりがなくなると進めなくなるのかを確認し、その部分だけをもう一度整理します。
同じ問題を覚えただけでは、応用力になりません
難しい問題を解説後に何度も解くと、式や答えを覚えることがあります。
それでも、その問題を解けたという結果は残ります。
しかし、数字や設定が変わった問題で使えなければ、考え方を身につけたとは判断できません。
そこで、同じ考え方を使う別の問題を解きます。
例えば、
- 数字を変える
- 問われるものを変える
- 図の向きを変える
- 条件の書かれる順序を変える
- 不要な条件を加える
といった問題です。
教わった問題を再現するだけでなく、別の問題の中から同じ考え方を自分で選べるかをかを確認します。
これが、応用問題を解く力につながります。
難しい問題を長時間考えればよいわけではありません
応用問題では、すぐに答えが出なくても考える時間が必要です。
ただし、何も書かずに長時間止まり続けることと、考えていることは同じではありません。
考えている子の紙には、
- 問いへの印
- 条件への線
- 図への書き込み
- 試した式
- 分かったこと
- うまくいかなかった考え方
が残ります。
一方で、何も書かず、
「分からない」
と止まっている場合は、最初の一歩が見つかっていない可能性があります。
その場合は、
何を聞かれている?
分かっている条件はどれ?
図に書けることはある?
似た問題で使った考え方はある?
と、考えるための行動へ分けます。
「もっと考えなさい」ではなく、何をすれば考え始められるのかを教えます。
過去問でも、難問だけを見ないことが大切です
中学受験では、すべての問題を解ける必要があるとは限りません。
志望校の問題構成や合格点によっては、難問一問を取ることよりも、基本問題や標準問題を確実に得点することが重要な場合があります。
そのため、過去問を確認するときは、
- 取るべき問題を正解できたか
- 読み違いや計算で落としていないか
- 一問に時間を使いすぎていないか
- 解ける問題を後回しにしていないか
- 難問の失点より先に直す失点がないか
を見ます。
難しい問題を解けたことは大きな力です。
しかし、入試では、解ける問題を得点に変えることも必要です。
難問演習の量は、志望校の問題と現在の答案を見て決めます。
家庭で難問を教え切る必要はありません
子どもが応用問題で止まると、保護者の方が解説を読み、家庭で最後まで教えることがあります。
しかし、家庭で答えまで導くことが目的になると、本人がどこで止まったのかが分からなくなることがあります。
家庭では、次の点を確認するだけでも構いません。
- 何を聞かれているか説明できる?
- 分かっている条件はどれ?
- 図や表にできることはある?
- どこまでは一人で進められた?
- 解説を閉じた後にも、もう一度できる?
それでも進めなければ、問題に印を付け、学校や塾で質問できる状態にします。
保護者の方が中学受験の難問をすべて教える必要はありません。
難問演習を増やす前に、学び方を確認します
中学受験の応用問題を解けるようになるには、応用問題への挑戦も必要です。
しかし、その前に、
- 問題文を最後まで読んでいるか
- 問いを正確に確認しているか
- 条件を図や式へ移しているか
- 必要な基礎を自分で使えるか
- 解説を閉じて解き直しているか
- 別の問題でも同じ考え方を選べるか
を確認します。
ときわの塾では、このように、教わったことを自分の力へ変えるための行動を「学ぶ土台」と呼んでいます。
応用問題ができなかったときに、単に難問の量を増やすのではありません。
どこで止まったのかを観察し、必要な行動や基礎へ戻り、最後にもう一度応用問題へつなげます。
難しい問題を一度解くことではなく、教わった考え方を別の問題でも自分で使えるようにすることを大切にしています。

関連記事
小学4年生から中学受験を始めても間に合いますか?
難しい問題を早く始めることだけを優先せず、現在の学力と志望校までの差から、必要な基礎と学習内容を考えます。
教えてもらえばできるのに一人では解けない子へ
解説を聞いて分かった状態と、手掛かりがなくても一人で解ける状態の違いを、解き直しの方法から解説しています。
中学受験の勉強量が多すぎる?|志望校から逆算する方法
すべての問題を同じように増やすのではなく、志望校の過去問、合格点、現在の学力から優先する問題を決める方法を解説しています。
図形問題が苦手な子は図に書かないで天才のように解いています
図形の条件を頭の中だけで処理せず、図へ書き込みながら、自分で使えるヒントを増やす方法を解説しています。

ときわの塾へのご相談・お問い合わせはお気軽に
