途中式を書かない小学生へ|ノートに「考えた跡」を残す理由
この記事の内容
途中式は、ノートをきれいに見せるために書くものではありません。考えた順序を残し、間違えた場所を見つけ、次の問題でも同じ考え方を使うためのものです。途中式を書かない理由の見つけ方と、ノートに何を残せばよいのかを解説します。

「計算は頭の中でできるから、途中式はいらない」
「書くのが面倒だから、答えだけでいい」
「途中式を書きなさいと何度言っても、書こうとしない」
このようなことでお困りではありませんか。
途中式を書かなくても、簡単な計算なら正解できることがあります。
そのため、子ども自身は、
「答えが合っているから、書かなくても大丈夫」
と考えることがあります。
しかし、学年が上がって計算が複雑になると、頭の中だけで処理することが難しくなります。
間違えたときも、答えしか残っていなければ、どこで間違えたのかを確かめられません。
ときわの塾では、ノートをきれいに見せるための作品とは考えていません。
自分がどのように考えたのかを残し、間違えた原因を見つけ、次も自分で解くための道具だと考えています。
途中式を書かなくても正解できるなら、問題ないのでしょうか
簡単な問題であれば、途中式を書かなくても正解できることがあります。
一桁のたし算や九九を使うだけの計算なら、頭の中で答えを出せる子も多いでしょう。
しかし、算数や数学の内容が複雑になると、頭の中で同時に扱わなければならない情報が増えていきます。
- どの数字を使うのか
- どの順番で計算するのか
- 繰り上がりや繰り下がりはいくつか
- 単位をそろえる必要があるか
- 前に求めた数字を次のどこで使うのか
- 最後に何を答えるのか
こうした情報をすべて頭の中に置いたまま計算すると、解き方を理解していても、途中で数字や順番を取り違えることがあります。
文章題では、さらに問題文の条件も整理しなければなりません。
途中式や図、短いメモを書くのは、先生へ見せるためだけではありません。
頭の中で考えていることを外へ出し、自分でも確認できるようにするためです。
答えだけでは、どこで間違えたのか分かりません
例えば、答えが「36」になる問題に、子どもが「32」と書いていたとします。
答えだけを見ても、次のどこで間違えたのかは分かりません。
- 問題文を読み違えた
- 式の立て方を間違えた
- 使う数字を取り違えた
- 繰り上がりを忘れた
- 九九を間違えた
- 答えを書き写すときに間違えた
そこで子どもへ理由を聞いても、
「分からない」
「ケアレスミス」
「本当は分かっていた」
という返事になることがあります。
子どもが間違いの原因を隠しているとは限りません。
途中の考えを何も書いていなければ、本人にも、どこで間違えたのか分からないのです。
反対に、式や計算の順序が残っていれば、
「式は合っているけれど、ここで数字を書き間違えている」
「計算ではなく、問題文から式を作るところで違っている」
と、最初に間違えた場所を見つけやすくなります。
原因が分かれば、次に改善する行動も決められます。
ときわの塾がノートで確認していること
ときわの塾では、字が美しいか、色をきれいに使い分けているかだけでノートを見ているわけではありません。
次のようなことを確認しています。
- 問題で使う数字が分かるように書かれているか
- 途中式が計算の順番どおりに並んでいるか
- 数字の桁がそろっているか
- 図や線を使って条件を整理しているか
- 最初に間違えた場所をあとから確認できるか
- 教わった方法を使った跡があるか
- 最後に何も見ず、自分で解き直しているか
ノートを見る目的は、子どもを細かく管理することではありません。
どこまでは理解できていて、どこから分からなくなったのかを確認するためです。
答えだけでは見えない子どもの考え方も、途中式やメモが残っていれば見つけられることがあります。
途中式を書かない理由は、子どもによって違います
「途中式を書きなさい」と何度注意しても変わらない場合は、書かない理由を確かめる必要があります。
何を書けばよいか分からない
子どもは途中式を書くことを拒んでいるのではなく、何をどの順番で書けばよいのか分かっていない場合があります。
先生の式を見れば理解できても、自分で問題を解くと、最初の一行を書けない子もいます。
この場合は、「書きなさい」と伝えるだけでは変わりません。
どの数字を最初に書くのか、計算をどの位置へ並べるのかなど、書き方そのものを一緒に練習する必要があります。
書くことを面倒に感じている
途中式を省いた方が速く終わると考えていることがあります。
簡単な問題では実際に正解できるため、本人には書く必要性が感じられません。
この場合は、途中式を書いたことで、
「自分で間違いを見つけられた」
「計算を最初からやり直さずに済んだ」
という経験が必要です。
頭の中でできると思っている
すべてを頭の中で計算できると思っている子もいます。
しかし、問題が複雑になるほど、計算以外の情報も同時に覚えておかなければなりません。
この場合、すべての計算を書かせるのではなく、情報が増える問題や間違いが起きやすい問題で、何を残す必要があるのかを教えます。
早く終わらせることが目的になっている
学習内容を身につけることより、宿題のページを早く終わらせることが目的になっている場合があります。
問題を解くことが「空欄を埋める作業」になると、途中式を省き、分からない問題にも適当な答えを書くことがあります。
この場合は、書く量を増やすだけでは解決しません。
途中式を何のために書くのか、間違えた問題をどのように次の学習へ使うのかまで伝える必要があります。
同じ「途中式を書かない」という行動でも、原因によって必要な指導は変わります。
ときわの塾では、子どもが実際に問題を解いている様子を観察し、起きている事実を整理してから改善方法を考えます。
すべての計算を書かせればよいわけではありません
途中式は、多ければ多いほどよいわけではありません。
すでに安定してできている簡単な計算まで、毎回細かく書く必要があるとは限りません。
一方で、次のような問題では、途中の考えを残す価値があります。
- 間違いが続いている計算
- 複数の手順が必要な問題
- 数字や条件が多い文章題
- あとから考え方を確認したい問題
- 別の問題でも使いたい解き方
- 前に求めた答えを次の計算で使う問題
何でも書かせるのではなく、自分の考えを支え、あとから確認するために必要なことを書くのが目的です。
必要な途中式の量は、学年・問題の難しさ・子どもの理解度によって変わります。
「きれいでなくてもよい」は「読めなくてもよい」ではありません
ノートを美しく飾ったり、何色ものペンで分類したりすることが学習の目的ではありません。
ただし、次のような状態では、考え方を確かめたり、間違いを見つけたりすることが難しくなります。
- 自分でも読めない数字
- 0と6などの区別がつかない字
- 桁がそろっていない計算
- 式がどこからどこへ続いているか分からない
- 問題と計算が離れ、対応が分からない
- 複数の問題の計算が混ざっている
ときわの塾が求めているのは、作品のように美しいノートではありません。
自分と先生が読み返せるノートです。
「きれいさ」と「読みやすさ」は同じではありません。
見栄えを整えることより、考えた順序をたどれることを優先します。
ノートをきれいに作ることが目的になる場合もあります
丁寧にノートを作ること自体が悪いわけではありません。
色分けをした方が理解しやすい子もいますし、学習内容を整理して書くことが得意な子もいます。
問題は、ノートを作ることが学習の中心になっている場合です。
例えば、次のような状態です。
- 黒板や解説をそのまま写す
- 色を使い分けることに時間をかける
- 間違えた式をすべて消し、正しい答えだけを残す
- まとめ終えたことで勉強したつもりになる
- 書いた内容を使って問題を解いていない
完成したノートがきれいでも、
「なぜ、この式になるのか」
「自分はどこで間違えたのか」
「次に一人で解けるのか」
を確認できなければ、学習内容が身についたとは判断できません。
ノートを作ることと、書いた内容を使って問題を解けることは別です。
間違えた跡をすべて消す必要はありません
子どもが間違えた式を消しゴムできれいに消し、正しい答えだけを書き直すことがあります。
学校や教材の決まりで書き直す必要がある場合もありますが、学習のためには、最初の考えを確認できる方がよいことがあります。
間違えた式が残っていれば、
「どこまでは合っていたのか」
「最初に違ったのはどこか」
を確かめられるからです。
ただし、間違いを残すだけでは学力にはつながりません。
大切なのは、次の流れです。
- 最初に間違えた場所を見つける
- なぜその間違いが起きたのかを確認する
- 必要な部分を練習する
- 解答や先生の式を閉じる
- もう一度、最初から自分で解く
間違えた跡は、子どもを責めるためのものではありません。
次に必要な練習を見つけるための事実です。
ノートは次も一人で解くために使います
ノートに考えた過程が残っていれば、復習するときに次のことを振り返れます。
- どこで迷ったのか
- どの考え方を使ったのか
- 何を間違えたのか
- どの説明で理解できたのか
- 次に気をつけることは何か
ただし、ノートを見返して納得するだけでは十分ではありません。
最後はノートや解答を閉じて、もう一度自分で解きます。
先生が隣にいるときだけできたのではなく、次も一人で使えるかを確かめるためです。
ときわの塾では、
- 今日できたことを次もできる
- 教わった問題だけでなく、別の問題でも使える
- 先生が隣にいなくても自分でできる
という再現性を大切にしています。
ノートは、その再現性を育てるための道具の一つです。
ご家庭では「きれいに書いて」以外の確認をしてください
お子さんのノートが雑に見えたとき、すぐに全部を書き直させる必要はありません。
まず、ノートを見ながら次のように聞いてみてください。
「この式は、どこから出てきたの?」
「どこで間違えたか、自分で分かる?」
「明日見ても、この計算の順番が分かりそう?」
「次も同じ問題を解くなら、何を残しておく?」
子どもが自分のノートを見ながら説明できれば、考えた過程がある程度残っています。
反対に、本人にも説明できない場合は、何を書けば考え方を確認できるのかを一緒に考えます。
途中式を書けたときも、
「きれいに書けたね」
だけではなく、
「途中式があったから、自分で間違いを見つけられたね」
「数字をそろえて書いたから、計算の順番が分かりやすかったね」
と、途中式が役立った場面を具体的に認めてください。
ノートに残したいのは「考えた跡」です
ノートは、先生に見せるための完成品ではありません。
頭の中にある考えを外へ出し、間違えた原因を確認し、次も自分で解くための道具です。
そのために必要なのは、次のような状態です。
- 自分や先生が読める
- 計算の順序をたどれる
- 最初に間違えた場所を見つけられる
- 教わった方法をあとから確認できる
- もう一度自分で解くときに役立つ
ノートを美しく飾る必要はありません。
しかし、何を書いたのか本人にも分からない状態のままでよいわけでもありません。
ときわの塾では、答えだけでなく、その答えへたどり着くまでの行動を見ています。
途中式や図、短いメモなどの「考えた跡」を残すことで、できなかった原因を見つけ、必要な部分を練習します。
そして最後は、何も見ずにもう一度自分で解きます。
まずはご家庭で、お子さんが間違えた問題を一つ選び、ノートを見ながら、
「最初に違ったのはどこか」
を一緒に探してみてください。
途中式を何度言っても書かず、同じ計算ミスが続いている場合は、ご相談ください。

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