算数の途中式を書かない子へ|暗算できても「書いて考える力」が必要な理由
この記事の内容
途中式を書く目的は、先生や保護者に考え方を見せることだけではありません。覚えておくことを紙に任せ、頭を考えるために使うことが本来の目的です。必要なときに式・図・表を使い、自分の考えを整理する力の育て方を、ときわの塾が解説します。

「答えは合っているのですが、途中式をまったく書きません」
「何度言っても、頭の中だけで計算しようとします」
「簡単な問題ではできるのに、文章題になると急に間違えます」
西宮市で小学生を指導していると、こうしたご相談をいただくことがあります。
暗算で素早く正解できる姿を見ると、
「計算が得意だから、書かなくても大丈夫」
と思われるかもしれません。
確かに、すべての計算で細かな途中式を書く必要はありません。
一桁の足し算など、すでに正確にできる計算まで、毎回詳しく書かせる必要はないでしょう。
しかし、問題が少し複雑になっても、何も書かずに頭の中だけで解こうとする習慣には注意が必要です。
算数が伸びる子は、何でも暗算で解く子ではありません。
必要なときに式・図・表・筆算などを使って、自分の考えを見える形にできる子です。
なぜ、子どもは途中式を書きたがらないのでしょうか
途中式を書かない子の多くは、書く意味をまだ実感していません。
簡単な問題なら、頭の中だけでも正解できます。
そのため、子どもから見れば、
「答えが合っているのに、なぜ書かないといけないの?」
という気持ちになります。
途中式を書くことを、先生や保護者に見せるための決まりだと思っている子もいます。
「書かなくても分かっている」
「書く方が時間がかかる」
「面倒だから答えだけでいい」
そう考えるのも、簡単な問題を解いている間は不自然ではありません。
ところが、学年が上がるにつれて、算数の問題は複雑になります。
・計算の手順が増える
・使う数字が多くなる
・文章から条件を選ぶ必要がある
・複数の式を組み合わせる
・図形や割合の関係を整理する
こうなると、頭の中だけですべてを覚えながら考えることが難しくなります。
簡単な問題で身についた「書かない習慣」が、難しい問題を考えるときの壁になってしまうのです。
式を書く目的は、先生に見せることではありません
式や途中式を書く目的は、答えを長く書くことではありません。
自分の考え方を整理し、途中の状態を自分で確認できるようにすることです。
例えば、文章題を解くときには、
・何が分かっているのか
・何を求めるのか
・どの数字を使うのか
・なぜ、その計算になるのか
を考えなければなりません。
頭の中だけで処理すると、「どこまで考えたのか」「何を求めようとしていたのか」が分からなくなることがあります。
一方、式や図を残していれば、自分が考えた道筋を目で確認できます。
途中で迷っても、一から考え直す必要がありません。
式は、先生に理解していることを証明するためだけのものではありません。
自分が考えるために使う道具です。
「記憶は記録で代用できます」
私は授業中、子どもたちによく、
「記憶は記録で代用できます」
と伝えています。
数字、途中の計算結果、分かった条件などを紙に書いておけば、頭の中で覚え続ける必要がありません。
「あれ、今は何を求めていたのかな」
「この数字は、どこから出てきたのかな」
となったときも、書いたものを見れば途中から考え直せます。
人の頭には、覚えることだけでなく、考えるという大切な役割があります。
覚えることと考えることを、すべて頭の中だけで同時にしようとすると、その分だけ負担が大きくなります。
だから、
覚えておくことは紙に任せる。
頭は、考えるために使う。
これが、ときわの塾で大切にしている学び方です。
書く量を増やすことが目的ではありません。
考えるために必要な情報を、必要な形で残すことが目的です。
途中式がないと、間違えた原因が分かりません
途中式を書かない子に多いのが、間違えたあとに、
「ケアレスミスだった」
「計算を間違えただけ」
「次は気をつける」
で終わってしまうことです。
しかし、何も書かれていなければ、本当に単純な計算ミスだったのかは分かりません。
・使う数字を間違えた
・問題の条件を読み落とした
・途中で計算方法が変わった
・求めるものを勘違いした
・一つ前の計算結果を覚え間違えた
さまざまな可能性があります。
答えだけを見ても、どこで判断を誤ったのかは確認できません。
途中式が残っていれば、
「ここまでは合っている」
「この式を作るところで間違えている」
「考え方は合っているが、最後の計算だけが違う」
と、間違えた場所を具体的に確認できます。
ときわの塾では、間違いを見つけたとき、すぐに正しい解き方を説明するのではなく、まず子どもがどこで判断したのかを見ます。
観察し、書かれている事実を整理し、間違えた原因を確認してから、直すべき行動を決めます。
途中式は、そのための大切な記録にもなります。
復習とは、答えを書き直すことではありません
間違えた問題をもう一度解いて正解すれば、それで復習が終わるわけではありません。
本当に必要なのは、
「前回は、どこで考え方が変わったのか」
「なぜ、この式にしてしまったのか」
「次は何を確認すれば防げるのか」
を振り返ることです。
途中式が残っていれば、自分が最初に考えた道筋をたどることができます。
何も残っていなければ、前回の考え方を振り返れません。
最初から正しい方法で解き直し、
「今度はできた」
で終わってしまうことがあります。
それでは、前回と同じ場面で再び間違えるかもしれません。
復習とは、正しい答えに変えることだけではありません。
間違えたときの自分の行動を確かめ、次の解き方を改善することです。
途中式を書く習慣があると、復習の質は大きく変わります。
正解していても、考え方を確認する理由
答えが合っていれば、考え方も正しいとは限りません。
例えば、
・何となく選んだ式が偶然合っていた
・数字だけを見て計算した
・根拠はないが、見たことのある形で答えた
・途中で間違えたものの、別の間違いと重なって正解した
という場合もあります。
一度の正解だけでは、本当に理解できているかは判断できません。
大切なのは、同じ考え方を次の問題でも使えることです。
式や図を見ながら、
「なぜ、この計算にしたの?」
「この数字は、何を表しているの?」
と確かめると、その子がどこまで理解しているのかが分かります。
答えではなく、正解までの道筋が再現できるかを見ることが大切です。
式だけでなく、図や表を書くことも必要です
算数で書くものは、途中式だけではありません。
文章題によっては、式を書く前に、
・線分図
・関係図
・表
・簡単な絵
・分かっている条件への印
などを使った方が、考えやすくなる場合があります。
特に、割合・速さ・比・場合の数などは、頭の中だけで関係を整理しようとすると混乱しやすくなります。
すぐに式が浮かばないときに、そこで止まってしまうのではなく、分かっていることを書き出してみる。
図にして、数量の関係を確かめてみる。
表を作り、変化の規則を探してみる。
このように、問題に合わせて考え方を見える形にすることが、本当の意味での「書いて考える力」です。
式を書くことだけを形式的に求めても、考える力にはつながりません。
その問題を考えるために、何を書けばよいのかを判断できることが大切です。
そろばんが得意だった私が、暗算に頼らなかった理由
私は、そろばんが得意で、暗算にも自信がありました。
それでも学校のテストでは、一桁程度の簡単な計算を除いて、そろばん暗算にはあまり頼りませんでした。
理由は、
「できる問題では、1点も落としたくなかったから」
です。
頭の中だけで計算するよりも、必要な式や筆算を残した方が、あとから確かめられます。
途中の数値を見直せますし、考え方が合っているかも確認できます。
テストでは、速く解けたこと自体に点数がつくわけではありません。
限られた時間の中で、解ける問題を確実に正解することが大切です。
暗算ができることと、暗算だけで解くことは別です。
計算力がある子ほど、その力を過信せず、必要な記録を残して正確さにつなげることができます。
すべての途中式を書かせればよいわけではありません
途中式は、たくさん書けば書くほどよいものでもありません。
すでに正確にできる簡単な計算まで、毎回細かく書かせると、書くこと自体が負担になる場合があります。
大切なのは、
・間違えやすい計算
・手順が二つ以上ある問題
・数字や条件が多い文章題
・あとから見直す必要がある問題
・一度で考え方が決まらない問題
で、必要な記録を残すことです。
「途中式を書きなさい」と一律に注意するだけでは、子どもは書く意味を理解できません。
「ここに計算結果を残しておけば、次は何を考えればよいか分かるね」
「この図があるから、使う数字を間違えずに済んだね」
「式が残っていたから、自分で間違いを見つけられたね」
と、書いたことで何がよくなったのかを認めることが大切です。
子ども自身が書く価値を実感できれば、必要なときに自分から使えるようになります。
ご家庭では、答えよりも考え方を見てください
ご家庭で丸つけをすると、どうしても答えが合っているかどうかに目が向きます。
もちろん、正誤の確認は必要です。
ただ、途中式を書かないことが気になる場合は、毎回「式を書きなさい」と注意するよりも、時々、
「どのように考えたの?」
「この数字は、何を表しているの?」
「途中で分かったことを、どこかに残せるかな?」
と尋ねてみてください。
ただし、すべての問題で説明を求める必要はありません。
毎回細かく聞かれると、子どもにとって勉強が試される時間になってしまいます。
難しかった問題や、偶然正解したように見える問題を一つ選ぶだけで十分です。
そして、式や図を使って説明できたときは、
「式があるから、どう考えたかよく分かったよ」
「途中の数字を残したから、自分で見直せたね」
と、改善した行動を具体的に認めてあげてください。
算数が伸びる子は、考えた跡を残します
算数は、ひらめきだけで伸びる教科ではありません。
問題文を読む。
分かっていることを整理する。
必要な数字を選ぶ。
式や図を使って考える。
答えが合っているか確かめる。
間違えたら、どこで判断が変わったのかを振り返る。
こうした行動を繰り返すことで、初めて自分の力で解ける問題が増えていきます。
途中式を書くことは、きれいなノートを作るためではありません。
考えた跡を残し、自分の考えを整理し、間違えたときに改善できるようにするためです。
記憶は、記録で代用できます。
覚えておくことは紙に任せ、頭は考えるために使う。
この習慣は、算数だけでなく、中学受験、高校受験、そしてその先の学びにもつながります。
西宮市で算数の文章題やケアレスミスにお悩みの方へ
ときわの塾は、西宮市で2016年に開校した、算数・国語・そろばんを指導する少人数個別対応の学習塾です。
・計算はできるのに文章題になると間違える
・途中式を書かず、頭の中だけで解こうとする
・ケアレスミスを何度も繰り返す
・間違えた理由を自分で説明できない
・応用問題になると、どこから考えればよいか分からない
こうした場合は、問題の解き方だけでなく、どのように考えているのかを確認する必要があります。
ときわの塾では、答えが合っているかだけではなく、問題文をどのように読み、何を整理し、どこで式や図を使ったのかまで見ています。
点数だけを追いかけるのではなく、点数につながる行動を育てる。
「書いて考える習慣」は、そのための大切な学ぶ土台です。
ときわの塾の考え方をお伝えします。

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