質問できない子へ|「100回まで聞いてきて」と伝える理由
分からない問題があっても、先生に質問できない子がいます。恥ずかしい、何を聞けばよいか分からない、説明をもう一度頼みにくいなど、質問できない理由は一つではありません。ときわの塾が子どもたちに「100回まで聞いてきて」と伝えている理由を解説します。

質問しないから困っていないとは限りません
授業中に質問しない子を見ると、説明を理解しているように見えることがあります。
しかし、実際に問題を解かせてみると、最初の一問から手が止まることがあります。
「分からなかったのなら、どうして聞かなかったの?」
と尋ねると、子どもからはさまざまな答えが返ってきます。
- みんなが分かっているように見えた
- もう一度聞くと怒られそうだった
- 何が分からないのか分からなかった
- 授業を止めてはいけないと思った
- 自分だけできないと思われたくなかった
- あとで聞こうと思っているうちに授業が進んだ
質問しないことと、理解していることは同じではありません。
静かに授業を受けている子ほど、分からないところが表に出ないまま残ってしまうこともあります。
「分からない」と言うだけでも勇気が必要です
大人にとっては、分からなければ聞けばよいと思えるかもしれません。
しかし、子どもにとって「分かりません」と伝えることは、自分ができていないと認めることでもあります。
友達に聞かれるかもしれない。
先生に「さっき説明したよ」と言われるかもしれない。
うまく質問できず、困らせてしまうかもしれない。
そのような不安があると、分からなくても黙ってしまいます。
そのため、質問の仕方を教える前に、質問しても大丈夫だと思える関係と環境が必要です。
「100回まで聞いてきて」と伝えています
ときわの塾では、子どもたちに、
「100回まで聞いてきて」
と伝えています。
これは、本当に100回までしか質問できないという意味ではありません。
同じことを聞き直してもよい。
一度で理解できなくてもよい。
説明を聞いたあと、もう一度分からなくなってもよい。
そのことを子どもに分かりやすく伝えるための言葉です。
初めて聞いた子は、
「本当に100回聞いていいの?」
と笑います。
この反応が出れば、質問することに対する緊張が少し下がります。
「一度で分からなければいけない」という思いが薄れれば、子どもは初めて、分からないことを言葉にしやすくなります。
何も考えずに答えを聞くこととは違います
質問することは大切ですが、問題を見てすぐに、
「分かりません」
「答えを教えてください」
と言えばよいわけではありません。
質問する前に、まず問題文を読む必要があります。
分かるところまで、自分で試す必要もあります。
そのうえで、
- 問題の意味が分からない
- どの計算を使うのか分からない
- ここまではできたが、この先へ進めない
- 教えてもらった方法で解いたが答えが合わない
と、止まった場所を伝えます。
質問は、考えることをやめるための行動ではありません。
自分だけでは越えられないところを見つけ、もう一度考え始めるための行動です。
最初は「全部分からない」でも構いません
質問することに慣れていない子へ、最初から上手な質問を求めても難しいものです。
勇気を出して、
「先生、分かりません」
と言えたのであれば、まずその行動を受け止めます。
そこから一緒に確認します。
「問題文に書かれていることは分かる?」
「何を答える問題か分かる?」
「どこまでは自分でできた?」
「最初に分からなくなったのはどこ?」
このやり取りを繰り返すと、質問の内容が少しずつ具体的になります。
最初は「全部分からない」と言っていた子が、
「ここまでは分かりますが、この式になる理由が分かりません」
と言えるようになります。
質問できるようになることと、自分がどこまで理解しているかを確認できるようになることは、つながっています。
小さな声の質問から始まる子もいます
質問できない子が、突然みんなの前で手を挙げられるようになるとは限りません。
先生が近くに来たときに、小さな声で聞く。
解いたノートを見せながら、止まったところを指さす。
授業が終わってから聞きに来る。
最初は、そのような方法でも構いません。
大切なのは、質問の形を一つに決めることではなく、分からないことを放置せず、次の行動へ移れるようになることです。
一度質問して、分かるようになった経験があれば、
「聞けば前へ進める」
と分かります。
この経験が、次の質問をしやすくします。
質問したあとは自分でもう一度解きます
先生の説明を聞いて「分かった」と言えただけでは、一人で解けるようになったとは限りません。
質問したあとは、同じ問題や似た問題を自分でもう一度解きます。
説明を思い出しながら、自分で式を書く。
途中で止まったら、どこで分からなくなったのかをもう一度確認する。
できた場合も、なぜその解き方になるのかを説明してみる。
質問して終わるのではなく、一人で解けるところまで確かめることで、教えてもらった内容が自分の力になります。
質問できる子は、自分の理解を確かめられます
質問できる子が伸びるのは、質問の回数が多いからだけではありません。
自分が分かっていることと、分かっていないことを区別できるようになるからです。
「ここまでは分かる」
「ここから分からない」
「この考え方で合っているか確認したい」
このように自分の理解を確かめられるようになると、分からないまま勉強を進めることが減ります。
教えてもらったあとも、本当に一人でできるのかを確認できるようになります。
質問する力は、先生から答えをもらうためだけのものではありません。
自分の学習を自分で前へ進めるために必要な力です。
家庭では質問を代わりに説明しない
子どもが先生に質問できないと、保護者の方が状況を整理して、代わりに先生へ説明したくなることもあると思います。
もちろん、最初に事情を伝える必要がある場合はあります。
ただ、いつも大人が代わりに質問していると、子ども自身が分からないところを伝える練習ができません。
家庭では、答えや質問内容を先に教えるのではなく、
「どこまでは分かった?」
「どこから分からなくなった?」
「先生に何を聞けば、もう一度できそう?」
と確認してみてください。
きれいな質問文にする必要はありません。
子どもが自分の言葉で伝えられるところから始めることが大切です。
安心して「分からない」と言える場所をつくります
教育は、答えや解き方を教えることだけではありません。
子どもが安心して、
「分かりません」
「もう一度教えてください」
と言える場所をつくることも必要です。
ときわの塾が「100回まで聞いてきて」と伝えているのは、何度質問してもよいと伝えるためだけではありません。
一度でできなくても、一緒に分からない場所を探す。
教えてもらったら、自分でもう一度試す。
まだ分からなければ、もう一度質問する。
その繰り返しを大切にしているからです。
勇気を出して聞いた一回が、分からないまま止まっていた子の次の一歩になります。
ときわの塾は、質問に答えるだけでなく、子どもが自分の理解を確かめ、自分の言葉で質問し、最後は一人で解けるところまで見ています。

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