中学受験の問題文を最後まで読まない子へ|低学年から育てたい精読の習慣
この記事の内容
問題文を読み飛ばす子には、「もっとよく読みなさい」と注意するだけではなく、文字を順番に追い、最後まで正確に受け取る練習が必要です。私が二人の子どもに小学校3年生まで続けてもらった音読の方法と、丁寧に読む力を大切にした理由をお伝えします。

「うちの子は、問題文を最後まで読まないんです」
「算数の文章題になると、大切な条件を読み飛ばします」
「先生の説明も、途中までしか聞けていないようです」
中学受験を考える保護者の方から、このようなご相談をいただくことがあります。
問題文を最後まで読まないと、計算自体はできていても、聞かれていることとは違う答えを書いてしまいます。
「もっとよく読みなさい」
「最後まで読みなさい」
と伝えても、次の問題で同じ読み飛ばしを繰り返すことがあります。
これは、注意された内容を理解していないからとは限りません。
本人は最後まで読んだつもりでも、文字や条件を正確に受け取る読み方が、まだ身についていないことがあるからです。
私が自分の子どもたちに小学校3年生まで特に大切にしていたのは、難しい問題を早く解くことではありません。
文章を丁寧に読むことでした。
関連記事:国語の文章問題が苦手な子へ|文章を正確に読むために確認したいこと
精読とは、書いてあることを正確に受け取ること
文章を一語ずつ丁寧に読み、書かれている内容を正確に理解することを「精読」といいます。
精読というと、国語の長文読解を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、丁寧に読む力が必要なのは国語だけではありません。
算数では、文章題に書かれた数や条件を正しく捉える必要があります。
理科や社会でも、資料や説明文、設問が何を求めているのかを読み取らなければなりません。
たとえば、算数の文章題で計算に使う数が二つ書かれていると、すぐに足したり掛けたりする子がいます。
しかし、問題文を最後まで読むと、
- 求めるものは何か
- 使わない数はないか
- 単位をそろえる必要があるか
- 「残り」「合わせて」「違い」など、どの関係を考えるのか
を確認しなければならないことが分かります。
計算する前に、書かれていることを正確に受け取る。
この力がなければ、計算力があっても正解にはつながりません。
私は、算数を伸ばすためにも国語の力が必要だと考えています。
国語は算数を救います。
「読んだ」のに読み飛ばす子がいます
問題文を読み飛ばした子に、
「最後まで読んだ?」
と聞くと、多くの子は、
「読んだ」
と答えます。
うそをついているわけではありません。
文字を目で追っているため、本人には読んだ感覚があります。
しかし、実際に確認すると、
- 行を一つ飛ばしている
- 文末の条件を見落としている
- 「正しくないもの」を選ぶ問題で「ない」を見ていない
- 数字だけを拾い、前後の言葉を読んでいない
- 何を答える問題なのか説明できない
ということがあります。
目が文字の上を通ったことと、書かれている内容を正確に受け取ったことは同じではありません。
そのため、「読んだかどうか」だけを確かめるのではなく、どのように読んでいるかを見る必要があります。
音読では、ペンで文章を指しながら読んでもらいました
私が二人の子どもに続けてもらったのは、毎日の音読、書写、そして教科書の本文を丁寧に読むことです。
音読では、ただ声に出して読むだけではなく、ペンで文章を指しながら読んでもらいました。
目だけで文章を追うと、無意識に言葉や行を飛ばすことがあります。
文章をペンで指しながら読むと、今どこを読んでいるのかが分かりやすくなります。
一文字ずつ極端にゆっくり読むことが目的ではありません。
文字の並びに沿って視線を動かし、文末まで受け取る習慣をつけることが目的です。
読み間違えたときも、すぐに正しい言葉を教えるのではなく、
「今、どこを読んでいた?」
「この言葉は何と書いてある?」
と、本人が文章へ戻れるようにしていました。
この小さな練習の積み重ねが、
- 行や言葉を飛ばさずに読む
- 問題文を最後まで確認する
- 聞かれていることを捉える
- 読んだ内容をもとに考える
という学習行動につながっていきます。
読み終えてから、何を聞かれているか確認します
丁寧に読んでも、内容を受け取らないままでは問題を解けません。
問題文を読んだあとに、
「何を聞かれているの?」
「分かっていることは何?」
「どの言葉が大切だと思う?」
と尋ねると、子どもがどこまで読めているかが分かります。
うまく説明できない場合は、もう一度最初から読ませるとは限りません。
必要な箇所へ戻り、答えを考えるために必要な言葉を一緒に探します。
大切なのは、何度も全文を読ませることではなく、分からないときに文章へ戻る習慣をつけることです。
答えをすぐに教えてもらうのではなく、問題文のどこを確認すればよいのかを知る。
この行動が身につくと、一人で問題を解くときにも、読み落とした条件を自分で探せるようになります。
先生の話を最後まで聞くことも「受け取る力」です
私には二人の子どもがいます。
小学校の懇談会では、成績についてはほとんど聞きませんでした。
私が毎回、先生に確認していたのは、
「授業中、先生のお話をしっかり聞けていますか?」
ということでした。
先生から「よく聞いていますよ」と言っていただけると、私は安心しました。
読むことと聞くことは、別の行動に見えます。
しかし、どちらにも共通しているのは、途中で自分の判断を挟まず、伝えられたことを最後まで受け取る力です。
先生の説明を途中まで聞いて、
「たぶん、こういうことだろう」
と自分のやり方で始めると、大切な条件や手順を聞き落としてしまいます。
問題文を最後まで読まない子が、説明も最後まで聞けていないことがあります。
その場合は、国語の問題だけを練習するのではなく、読むときと聞くときの両方で、最後まで受け取る行動を育てる必要があります。
丁寧に読んでも分からないことはあります
問題文を最後まで読めば、すべての問題が解けるわけではありません。
知らない言葉があることも、問題の意味を理解できないこともあります。
そのため、ときわの塾では子どもたちに、
「100回まで聞いてきて」
と伝えています。
分からないことを質問するのは、恥ずかしいことではありません。
ただし、すぐに答えを伝えるのではなく、
「どこまでは分かった?」
「どの言葉から分からなくなった?」
と確認します。
「全部分からない」で終わらせず、分かるところと分からないところを分けるためです。
丁寧に読んだうえで質問するからこそ、子ども自身も何を教えてほしいのかが分かるようになります。
読むことと質問することは、別々の力ではありません。
文章を正確に受け取り、分からない箇所を見つけるところまでが、学ぶための大切な行動です。
家庭では15分程度から始められます
問題文を読み飛ばす子に、長時間の読書を急に求めても続きにくいものです。
まずは、勉強を始める前に教科書などを5ページ、または15分程度、静かに音読する方法があります。
その際は、速く読むことよりも、
- 指やペンで読んでいる箇所を追う
- 文末まで勝手に言葉を変えずに読む
- 分からない漢字や言葉をそのままにしない
- 読んだあとに、何が書かれていたかを短く話す
ことを大切にします。
毎日見つけた漢字や知らない言葉の中から、少なくとも三つを確認するのもよいでしょう。
保護者の方が内容を細かく教える必要はありません。
読み飛ばしたときに叱るのではなく、
「どこに書いてあるか、もう一度探してみよう」
と文章へ戻すだけでも練習になります。
低学年では、難問より先に育てたい力があります
中学受験を考えると、早く難しい問題へ進んだ方がよいのではないかと不安になることがあります。
しかし、問題文を最後まで読めないまま難問へ進むと、分からない原因が増えてしまいます。
計算方法が分からないのか。
言葉の意味が分からないのか。
条件を読み落としたのか。
何を求める問題なのか捉えられていないのか。
原因を切り分けられないまま、「難しい問題だから解けない」と考えるようになることもあります。
だから私は、自分の子どもたちが小学校3年生になるまでは、先へ急ぐことよりも、丁寧に読む習慣を大切にしました。
丁寧に読む。
最後まで聞く。
分からない箇所を見つける。
必要なところへ戻る。
この行動は、中学受験だけでなく、その後の高校受験や大学受験でも使い続けられます。
読み飛ばさない子は、考え飛ばさない
問題文を最後まで読むことは、単にミスを減らすための工夫ではありません。
書かれていることを受け取り、必要な情報を整理してから考えるための土台です。
私は、子どもたちに難しい問題を早く解いてほしいとは考えていません。
まず育てたいのは、丁寧に読み、丁寧に聞き、丁寧に考える力です。
速さは、その土台ができてからでも身につけられます。
読み飛ばさない子は、考え飛ばしません。
問題文を読むところから答えを出すところまで、一つずつ確かめて進める。
ときわの塾では、その学習行動を子どもたちと一緒に育てています。

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