国語の文章を読んでも内容が頭に残らない子へ|全部覚えようとしていませんか
中心テーマ
文章を読んでも内容が頭に残らない子は、覚える力が弱いのではなく、具体例まで全部覚えようとして要点を選べていないことがあります。主語・述語、段落の題名、登場人物の変化から文章の中心をつかむ方法を、ときわの塾が解説します。

「国語の文章を最後まで読んだのに、何が書かれていたのか説明できません」
「読んだ直後なのに、内容が頭に残っていないように見えます」
「文章の内容を聞くと、最初から細かく説明し始めます」
国語について、このようなご相談をいただくことがあります。
文章を読み終えたあとに、
「どのような話だった?」
と聞いても、すぐに答えられない。
あるいは、文章の最初から、細かな出来事を順番に説明しようとする。
その様子を見ると、
「きちんと読んでいなかったのではないか」
「読む途中で集中力が切れたのではないか」
「記憶する力が弱いのではないか」
と思われるかもしれません。
しかし、ときわの塾で子どもたちを見ていると、読んでいないのではなく、文章を全部覚えようとしているために要点を残せない子がいます。
細かく説明できても、要点をつかめているとは限りません
文章の内容を尋ねたとき、最初から細かく説明しようとする子がいます。
「最初に、この人が出てきて」
「そのあと、こういうことを言って」
「次に、こんな出来事があって」
と、書かれていたことを順番に話し始めます。
しかし、説明を続けても、
「結局、何について書かれた文章だったのか」
「筆者が一番伝えたかったことは何か」
「主人公は、最初と最後でどのように変わったのか」
という要点には、なかなかたどり着きません。
細かな内容を覚えているため、本人は文章を読めているように感じています。
ただし、細部を覚えていることと、文章の中心をつかめていることは同じではありません。
国語の読解問題で必要なのは、書かれていることをすべて同じ重さで覚えることではありません。
文章の中から重要な部分を選び、細かな内容との違いを整理することです。
全部覚えようとすると、かえって内容が残りません
文章を読んでも内容が頭に残らない子の中には、読むときに要点を探していない子がいます。
一文目から最後の一文まで、すべてを覚えようとします。
しかし、長い文章のすべてを同じように覚え続けることは簡単ではありません。
新しい内容を読むたびに、前に書かれていたことが少しずつ抜けていきます。
その結果、最後まで読み終えたときには、
「いろいろなことが書かれていたけれど、何の話だったか分からない」
という状態になります。
これは、まったく覚えていないのではありません。
何を残せばよいかを決めずに読んでいるため、重要な内容と細かな内容が混ざっているのです。
特に具体例を覚えようとする子がいます
説明文では、筆者が自分の考えを伝えるために具体例を使うことがあります。
例えば、
- 筆者の考えを示す
- その考えを分かりやすくするために具体例を挙げる
- 具体例を踏まえて、もう一度考えをまとめる
という流れです。
ところが、要点をつかむことが苦手な子は、筆者の考えよりも具体例を強く覚えることがあります。
具体例は、場面を想像しやすく、内容も具体的です。
そのため、読み終わったあとに内容を尋ねると、具体例の部分を詳しく説明します。
しかし、
「その具体例を使って、筆者は何を伝えたかったの?」
と聞くと、答えられません。
具体例を覚えることが悪いのではありません。
大切なのは、具体例そのものではなく、何を説明するための具体例なのかを考えることです。
文章を読んだあとに全部説明させるだけでは変わりません
内容を覚えていないように見えると、
「もう一度、最初から読んで」
「よく覚えておいて」
「読み終わったら全部説明して」
と伝えたくなるかもしれません。
しかし、全部覚えようとしている子に「よく覚えて」と伝えると、さらに細かな部分まで覚えようとします。
必要なのは、記憶する量を増やすことではありません。
文章の中で、
- 何が中心なのか
- 何が中心を説明するための具体例なのか
- 何を残し、何を細部として扱うのか
を分けることです。
要点をつかめるようになると、文章のすべてを覚えていなくても、内容を説明できるようになります。
主語と述語から、文の中心をつかみます
一文の内容を整理するときに、最初に確認するのが主語と述語です。
長い一文には、さまざまな説明が加えられています。
すべての言葉を同じように覚えようとすると、何について何を伝えている文なのかが分からなくなります。
そこで、
- 誰が、または何が
- どうしたのか
- どのような状態なのか
を確認します。
例えば、
雨が強く降り始めたため、駅で母の帰りを待っていた太郎は、急いで家へ傘を取りに戻った。
という文であれば、最初に押さえたいのは、
太郎が、傘を取りに戻った。
という骨組みです。
そのうえで、
- なぜ戻ったのか
- どこで待っていたのか
- 誰のための傘なのか
を加えていきます。
すべての言葉を削るわけではありません。
最初に文の骨組みをつかみ、そのあとに必要な説明を加えることで、内容を整理しやすくします。
段落に題名をつけるなら何かを考えます
文章全体の要点をつかむためには、段落ごとの役割を考えることも大切です。
ときわの塾では、
この段落だけに題名をつけるなら、どのような題名にする?
と尋ねることがあります。
題名をつけるためには、段落の中から最も重要な内容を選ばなければなりません。
細かな説明や具体例をすべて題名に入れることはできないからです。
例えば、ある段落に、
- 海に捨てられたごみの例
- 魚がごみを食べてしまう例
- 海岸に流れ着いたごみの量
が書かれていても、その段落の中心が「海洋ごみの問題」であれば、題名もその中心に合わせます。
「魚がごみを食べた話」だけを題名にすると、一つの具体例しか表していません。
段落に短い題名をつける練習をすると、
- 段落全体の中心は何か
- 具体例は何を説明しているのか
- 残すべき言葉はどれか
を考えるようになります。
要約は文章を短くするだけではありません
要約を、
「文章を短く書き直すこと」
だと考えている子がいます。
そのため、文章の最初から順番に、少しずつ言葉を削ろうとします。
しかし、それでは細かな内容が多く残り、何を伝えたい要約なのか分からなくなることがあります。
要約で最初に行うのは、文章を短くすることではありません。
文章の中心を選ぶことです。
説明文であれば、
- 何について書かれているのか
- 筆者は何を問題としているのか
- 最終的に何を伝えたいのか
- 具体例は何を説明するために使われたのか
を確認します。
そのうえで、中心となる内容を残し、必要に応じて理由や説明を加えます。
書かれていた順番をすべて再現する必要はありません。
重要な内容を選び、関係が分かるようにつなぐことが要約です。
物語文では、登場人物と関係を整理します
物語文を読んだあと、出来事を最初から順番に説明する子がいます。
しかし、物語の要点をつかむために、すべての出来事を同じように覚える必要はありません。
最初に確認したいのは、
- 主な登場人物は誰か
- その人物と関係する人は誰か
- 登場人物同士はどのような関係か
- 主人公は、誰の言葉や行動から影響を受けたのか
ということです。
登場人物と関係者を整理すると、誰の気持ちや行動に注目すればよいかが分かります。
名前が出てきた人をすべて同じように覚えるのではありません。
物語の中心になる人物と、その人物の変化に関わった人を分けます。
主人公に変化があったかを確認します
物語文では、主人公の変化が文章の中心になることがあります。
例えば、
- 最初は友達を疑っていたが、最後には信じるようになった
- 失敗を恐れていたが、自分から挑戦するようになった
- 家族の行動を迷惑に感じていたが、その思いに気づいた
- 自分のことしか考えていなかったが、相手の立場を考えるようになった
という変化です。
そこで、読み終わったあとに、
- 主人公は最初、どのような状態だったか
- 途中で何が起きたか
- 誰の言葉や行動がきっかけになったか
- 最後に気持ちや行動がどう変わったか
を確認します。
途中の出来事は、それぞれが独立した話ではありません。
主人公の変化につながる出来事として整理します。
主人公が何を経験し、どのように変わったかをつかめれば、細かな会話や行動をすべて覚えていなくても、物語の中心を説明できます。
要点をつかめるとは、細部を忘れることではありません
要点だけをつかむと聞くと、細かな内容は読まなくてもよいように感じるかもしれません。
しかし、細部を無視するわけではありません。
説明文の具体例は、筆者の考えを理解するために使います。
物語文の会話や行動は、登場人物の気持ちや変化を考える根拠になります。
大切なのは、細かな内容をそれだけで覚えるのではなく、
この内容は、文章の中心とどのようにつながっているのか
を考えることです。
中心と細部の関係が分かれば、必要な具体例や出来事も思い出しやすくなります。
「何が書いてあった?」だけで終わらせません
文章を読んだあとに、
「何が書いてあった?」
とだけ尋ねると、子どもはどこまで説明すればよいか分かりません。
そのため、文章の最初から全部説明しようとすることがあります。
ご家庭で確認する場合も、質問を分けると要点を探しやすくなります。
説明文であれば、
- 何について書かれた文章だった?
- 筆者が一番伝えたかったことは何?
- 具体例は何を説明するために使われていた?
- 段落に題名をつけるなら何にする?
物語文であれば、
- 主人公は誰?
- 主人公と関係の深い人物は誰?
- 主人公は最初と最後で変わった?
- 何が変化のきっかけになった?
と確認できます。
細かな内容をすべて言わせるのではなく、文章の中心を探す質問に変えることが大切です。
要点をつかめれば、文章を全部覚える必要はありません
国語の文章を読んでも内容が頭に残らない子が、何も読んでいないとは限りません。
真面目に読もうとして、すべての文や具体例を覚えようとしていることがあります。
しかし、文章を全部覚えようとすると、重要な内容と細かな内容の区別がつきません。
その結果、読み終わったあとに、何を話せばよいか分からなくなります。
必要なのは、記憶する力を鍛えることだけではありません。
- 主語と述語から一文の骨組みをつかむ
- 段落に題名をつけて中心を選ぶ
- 具体例が何を説明しているか考える
- 登場人物と関係者を整理する
- 主人公の変化ときっかけを確認する
このような読み方を身につけることです。
文章のすべてを覚えなくても、要点をつかめれば内容を説明できます。
ときわの塾では、読んだ量や正解数だけでなく、子どもが文章の何を残し、どのように説明しているかを確認しながら、読む力を育てています。
関連記事
- 国語の読解力を伸ばすには?本を読む・問題を解くだけでは伸びにくい理由
- 国語の問題を解いても伸びない理由|小学生の読み方
- 国語の文章は読めるのに、問いに合った答えを書けない子へ
- 国語のテストで時間が足りない子へ|設問を先に読む練習
- 国語が苦手なのは才能ではありません|高得点の子が身につけている基礎

ときわの塾へのご相談・お問い合わせはお気軽に
