分からないことを隠す子へ|「分かったふり」を責めても変わらない理由
この記事の内容
説明を聞くとうなずくのに、一人では解けない子がいます。分からないことを隠す背景と、本人が弱点を認めなくても先生がつまずきを見つけ、学び直す方法を、ときわの塾が解説します。

「先生の説明を聞いたときは、分かったと言っています」
「家でも『大丈夫』と言うのですが、テストでは同じ問題を間違えます」
「分からないなら質問すればよいのに、何も聞こうとしません」
このようなお子さんは、説明を聞いていないとは限りません。
分からないことに気づいていない場合もありますが、分からないと知られることを避けるために、理解したように振る舞っていることもあります。
説明を聞きながらうなずく。
「分かった?」と聞かれると、「分かった」と答える。
解き方を見せてもらった直後は、できそうな顔をする。
ところが、解説を閉じて一人で解かせると手が止まります。
これは、単なる質問不足ではありません。
分からないことを隠す行動が、学習の一部になっている状態です。
「分からない」と言うと、嫌な気持ちになる子がいる
勉強が苦手な子ほど、分からないことを隠す場合があります。
その背景には、これまでに、
「そんなことも分からないの?」
「前にも教えたでしょう」
「ちゃんと聞いていたの?」
と言われ、嫌な気持ちになった経験があることもあります。
もちろん、すべてのお子さんに同じ経験があるわけではありません。
しかし、分からないと伝えたときに困った顔をされたり、叱られたりする経験が重なると、子どもは少しずつ自分を守るようになります。
分からないと伝えて説明してもらうよりも、分かったふりをして、その場を早く終わらせようとします。
本人にとっては、先生や保護者を困らせるための行動ではありません。
分からない自分を見せないための行動になっています。
「分かった?」と聞くだけでは確認できない
説明が終わった後に、
「分かった?」
と聞くと、多くの子は「分かった」と答えます。
説明を聞いた直後なので、本当に理解したつもりになっていることもあります。
早く説明を終わらせたくて答えることもあります。
先生にもう一度説明してもらうことを申し訳なく感じている子もいます。
そのため、「分かった」という返事だけでは、本当に理解できているか判断できません。
確認したいのは、返事ではなく、その後の行動です。
- 解説を閉じて一人で解けるか
- 最初に何をするか説明できるか
- なぜその式になるのか話せるか
- 数字や言い方が変わっても同じ方法を使えるか
- 途中で止まった場所を伝えられるか
ここまで確認して、初めて理解できている部分と、まだ分かっていない部分が見えてきます。
分かった顔をしていても、一人では再現できない
例えば、算数や数学の問題で、先生が式を一行ずつ説明したとします。
子どもは説明を聞きながらうなずきます。
式の意味を尋ねても、先生が話した言葉を繰り返せます。
しかし、解説を隠して同じ問題をもう一度解かせると、最初の式を書けません。
このとき、その子は説明の内容をまったく聞いていなかったわけではありません。
先生の説明を見れば理解できても、自分で必要な条件を選び、最初の一歩を決めるところまでは身についていなかったのです。
「説明中に分かった」と「一人で再現できる」は同じではありません。
分かったふりを責める前に、どこまでなら一人でできるのかを確認する必要があります。
成績を伸ばす子は、分からない場所を表に出す
成績を安定して伸ばす子には、分からないことを表に出せるという特徴があります。
「ここまでは分かります」
「この式になる理由が分かりません」
「説明を聞いたときは分かりましたが、一人ではできません」
と、自分が止まっている場所を伝えます。
分からないことがあるのを恥ずかしいとは考えず、できるようにするための材料として扱っています。
分からない場所が明確になれば、先生も説明方法を変えられます。
一つ前の内容へ戻ることもできます。
必要な部分だけを練習することもできます。
分からないことを表に出すのは、勉強ができない証拠ではありません。
次に何を学べばよいかを見つける行動です。
「質問しなさい」と言っても質問できない
分からないことを隠す子に、
「分からなければ質問しなさい」
と伝えるだけでは、行動が変わらないことがあります。
本人が、どこから分からなくなったのか整理できていないからです。
また、質問すること自体に抵抗がある場合もあります。
そこで、最初から本人に弱点を説明させるのではなく、実際に問題を解く様子を見ます。
- 問題文のどこで読むのをやめたか
- 最初にどの数字を使おうとしたか
- 途中式のどこから進まなくなったか
- どの言葉の意味を取り違えたか
- 説明後、どこまで一人で再現できたか
この行動を見れば、本人が「分からない」と言わなくても、つまずいている場所を探せます。
本人が弱点を認めなくても、先生が把握しておく
勉強を苦手としている子の中には、自分の弱点を指摘されることを強く嫌がる子もいます。
「ここが分かっていないね」と直接伝えると、言い訳をしたり、不機嫌になったり、問題を避けたりすることがあります。
その場合、すぐに弱点を認めさせることを目的にはしません。
先生がつまずきを把握し、普段の学習の中へ必要な問題を入れます。
例えば、割合の問題で何度も止まる子がいたとします。
本人は「割合が分からない」とは認めず、「今日はたまたま間違えただけ」と言うかもしれません。
そこで、割合だけを集めたプリントを突然渡すのではなく、普段の問題の中へ、同じ考え方を使う基礎問題や類題を少しずつ入れます。
その都度、止まった場所を確認し、必要な説明をします。
本人が弱点を言葉にできていなくても、先生が把握していれば、必要な学び直しを進められます。
類題を使って「分からない場所」を確かめる
一度説明した問題を、そのままもう一度解けただけでは、本当に理解したか判断できない場合があります。
数字や答えの位置を覚えている可能性があるからです。
そこで、数字や聞き方を少し変えた類題に取り組ませます。
例えば、速さを求める問題を説明した後に、数字だけを変えた問題を出します。
それができれば、次は時間を求める問題に変えます。
そのとき、
- 問題文から必要な数量を選べるか
- 何を求める問題か確認できるか
- 正しい関係を使えるか
- 一人で式を作れるか
を見ます。
同じ方法を別の問題でも使えれば、理解が進んでいると判断できます。
反対に、類題で止まれば、まだ説明を見ながら分かった状態です。
止まった場所が見つかれば、そこだけをもう一度学び直せます。
「分かったふり」を責めることが目的ではない
子どもが理解していないのに「分かった」と言うと、大人は、
「分からないなら、分からないと言いなさい」
「分かったふりをしても意味がないでしょう」
と伝えたくなります。
その言葉自体は間違っていません。
しかし、分かったふりをすることで自分を守ってきた子に、正しい行動を伝えるだけでは変わりにくいことがあります。
まず必要なのは、
「分からないと言っても責められない」
「止まっている場所が分かれば、必要なところだけ教えてもらえる」
「分からない場所を見つけると、次はできるようになる」
という経験です。
分からないことを表に出した結果、実際に問題を解けるようになれば、少しずつ行動が変わります。
最終的には、自分で弱点を見つけられるようにする
先生が本人の代わりに弱点を探し続ければ、目の前の点数につながることはあります。
しかし、それだけでは自分で学ぶ力にはなりません。
最終的に目指したいのは、子ども自身が、
「ここまでは分かる」
「ここから分からない」
「この言葉の意味が分からない」
「説明を聞けば分かるけれど、一人ではできない」
と伝えられる状態です。
テストで点数を伸ばすために必要なことは、特別に複雑ではありません。
分からない場所を見つける。
必要なところまで戻って学び直す。
一人でできるまで練習する。
別の問題でも使えるか確かめる。
この行動を続けることです。
分からないことは、隠すものでも責められるものでもありません。
次に何を学べばよいかを教えてくれる手がかりです。
関連記事
説明を聞いて理解したように見えても、一人で同じ問題を解いたり、自分の言葉で説明したりできなければ、まだ身についたとはいえません。
分かったつもりが一番危ない|説明できれば本当に理解している
https://tokiwanojyuku.com/2392/
説明を頭に残すには、聞くだけで終わらず、自分で使い、分からない場所を確認する行動が必要です。
説明が頭に残らない子へ|聞いたことを使う4つの行動
https://tokiwanojyuku.com/1718/
勉強に自信がない子には、言葉で褒めるだけでなく、自分の力で解けたと確認できる経験を作ることが大切です。
勉強に自信がない子へ|褒めるよりも大切な自信の育て方
https://tokiwanojyuku.com/1606/
分からない場所を見つけ、必要な内容を学び直し、別の問題でも使えるか確認する行動は、ときわの塾が育てている「学ぶ土台」の一部です。
勉強しているのに成績が伸びない子へ|ときわの塾が育てる「学ぶ土台」
https://tokiwanojyuku.com/2970/

ときわの塾へのご相談・お問い合わせはお気軽に
