勉強に自信がない子へ|褒めるだけで変わらない理由と「自分でできた」を作る方法
勉強に自信がない子へ「すごい」「頑張ればできる」と伝えるだけでは、本人が納得できないことがあります。問題を細かく分け、できた部分とつまずいた部分を明確にし、最後に一人で再現できた事実を積み重ねることが、本当の自信につながります。
「褒めても、子どもが自信を持てません」。勉強に自信がない子には、言葉で励ますだけでなく、自分の力で解けたと確認できる経験が必要です。問題の細分化、補充問題、再現の確認によって自信を育てる方法を、ときわの塾が解説します。

「うちの子は、勉強に自信がありません」
「どうせ自分にはできないと、すぐに諦めてしまいます」
「褒めても、本人は素直に受け取ってくれません」
西宮市で子どもたちを指導する中で、このようなご相談をいただくことがあります。
子どもに自信を持たせる方法として、最初に思い浮かぶのは「褒めること」かもしれません。
もちろん、子どもの良いところを見つけ、言葉で伝えることは大切です。
しかし、勉強を苦手だと思い込んでいる子の場合、ただ褒めるだけでは自信につながらないことがあります。
なぜなら、本人がその言葉に納得していないからです。
「これくらい、みんなはできる」
「できて当たり前の問題だった」
「自分より頭の良い子なら、もっと簡単にできる」
このように考え、自分の中にいる「架空のよくできる子」と比べてしまいます。
大人が「できたね」と伝えても、本人が「できて当たり前」と考えていれば、自分の成長として受け取れません。
では、勉強に自信がない子へ、どのような経験を積ませればよいのでしょうか。
ときわの塾では、言葉だけで自信を持たせようとはしません。
子ども自身が、
「前はできなかったことが、今回はできた」
「先生に手伝ってもらわなくても、一人で解けた」
と確認できる仕組みを作ります。
自信は「褒められた回数」だけでは育ちません
勉強に自信がない子へ、
「あなたならできるよ」
「もっと自信を持って」
「頑張れば大丈夫」
と伝えても、本人が納得するとは限りません。
その子は、これまでに問題が分からなかった経験や、何度も間違えた経験を積み重ねています。
そのため、大人から励まれても、
「自分には無理だと思う」
「説明を聞いても、どうせ分からない」
「また間違えるに決まっている」
と、考える前から結論を出していることがあります。
この状態で長い説明を続けても、内容が十分に届きません。
説明を聞き始める前から、本人の中で「自分には分からない」という結論が出ているからです。
そこで、ときわの塾では口頭での説明を必要な長さに絞り、解答までの道筋を細かく分けます。
一度にすべてを理解させようとせず、
「ここまでは分かった」
「ここまでは自分でできた」
という地点を作りながら、一歩ずつ進めます。
問題を細かく分けて、できた部分を明確にします
勉強に自信がない子は、複数の手順が必要な問題を見ると、考える前から諦めることがあります。
例えば、算数の文章題を解くために、次の四つの行動が必要だったとします。
- 問題文を最後まで読む
- 必要な条件や数字を見つける
- 使う式や考え方を決める
- 計算し、聞かれたことに合う答えを書く
最初からすべてを一人で行うように求めると、どの段階でつまずいたのかが分かりません。
本人も、
「文章題が全部分からない」
「自分は算数ができない」
と、問題を大きく捉えてしまいます。
そこで、解答までの過程を一つずつ確認します。
「問題文は最後まで読めた」
「必要な数字は見つけられた」
「式を作るところで止まった」
「式ができれば、計算は一人でできた」
このように分ければ、できている部分と、これから改善する部分が明確になります。
この子は文章題がすべて分からないのではありません。
必要な数字は見つけられる。
計算もできる。
今、困っているのは式を作るところです。
この事実が分かれば、本人も「全部できない」と考える必要がなくなります。
つまずいた部分に合わせて補充問題を作ります
問題を細かく分けたあとは、その子がつまずいた段階に合わせて練習します。
ときわの塾では、必要に応じて、その場で手書きの補充問題を作ることがあります。
同じ単元であっても、つまずいている場所は子どもによって違います。
計算方法を理解できていない子もいます。
文章から必要な条件を見つけられない子もいます。
式を作る前に、何を求めるのか分からなくなる子もいます。
その子が理解できているところまで戻り、つまずいた部分を少しずつ変えた問題で練習します。
ここで大切なのは、問題数だけを増やさないことです。
間違った手順のまま何問も解かせると、その方法を繰り返し覚えてしまうことがあります。
例えば、文章を最後まで読まず、目に入った数字だけを使って式を作る子に、文章題を十問与えても、同じ間違いを十回繰り返す可能性があります。
必要なのは、どこで考え方がずれたのかを確認し、正しい手順で解ける問題を繰り返すことです。
前の問題との違いを見つけられるようにします
一つの問題が解けても、数字や聞かれ方が少し変わると、急に分からなくなることがあります。
これは、答えまでの形を覚えただけで、考え方を理解できていない状態です。
そこで、次の問題へ進むときには、
「前の問題と、どこが変わったのか」
「同じ考え方を使えるところはどこか」
「今回は、何を新しく考える必要があるのか」
を確認します。
このときも、口頭だけで長く説明するのではなく、考える過程を目に見える形にします。
問題文の大切な条件を囲む。
必要な数字を書き出す。
何を求めるのかを短い言葉で書く。
式を作るまでの順番を並べる。
頭の中だけで考えていたことを紙に書くと、前の問題と同じところ、違うところを比べやすくなります。
子どもが自分で解けるようになるには、答えだけでなく、答えまでの道筋を理解することが必要です。
一度解けただけでは「できた」と判断しません
ときわの塾では、先生の説明を聞いた直後に問題が解けただけで、完全に理解できたとは判断しません。
大切にしているのは「再現できること」です。
ここでいう再現とは、次のような状態です。
- 先生の説明がなくても解ける
- 例題や解説を見なくても解ける
- 数字や聞かれ方が変わっても、同じ考え方を使える
- 翌日以降にも、自分で解き方を思い出せる
先生と一緒なら解けた。
解説を見た直後なら解けた。
答えを隠した直後なら解けた。
これだけでは、テストでも解けるとは限りません。
まず、何も見ずに同じ問題を最初から解けるか確認します。
次に、数字や聞かれ方を変えた問題でも、同じ考え方を使えるか確かめます。
さらに、翌日以降にも自分で解けるか確認します。
できなければ、つまずいた場所まで戻って学び直します。
戻ることは失敗ではありません。
できない部分を残したまま先へ進むよりも、必要なところまで戻り、自分でできる状態にしてから進むほうが、結果として早く力になります。
何でも褒めるのではなく、改善した事実を伝えます
子どもが問題を解けたときに、
「すごいね」
「頭がいいね」
と褒めることもあります。
しかし、ときわの塾では、それだけで終わらせません。
何が以前より改善したのかを、具体的に伝えます。
「さっきは式を作るところで止まったけれど、今回は一人で式を作れた」
「前は問題文を途中までしか読まなかったけれど、今日は最後まで確認できた」
「答えは違ったけれど、必要な条件は自分で見つけられた」
「昨日は先生と一緒に解いたけれど、今日は何も見ずに解けた」
このように伝えれば、子どもも何ができるようになったのかを確認できます。
最後まで正解できなかった場合でも、改善した行動があれば認めます。
答えは間違っていても、問題文を最後まで読めた。
式は違っていても、必要な条件は見つけられた。
一人では解けなかったけれど、分からないところを質問できた。
できなかったという一つの結果だけで終わらせず、途中で改善した行動を事実として伝えます。
すぐに本人が喜ばなくても構いません。
大切なのは、根拠なく自信を持たせようとすることではなく、本人が否定できない事実を積み重ねることです。
比べる相手は、架空のよくできる子ではありません
勉強に自信がない子は、自分の中にいる「架空のよくできる子」と比べることがあります。
「みんなはもっと早く解ける」
「頭の良い子なら、一回で分かる」
「これくらいできても意味がない」
しかし、実際に比べるべき相手は、数週間前や数日前の自分です。
前は問題文を途中までしか読まなかった。
今は、最後まで読んでから考えられる。
前は分からなくても黙っていた。
今は、どこが分からないのかを質問できる。
前は説明を聞いた直後しか解けなかった。
今は、翌日にも一人で解ける。
このような変化を具体的に伝え続けます。
すると、子どもの中に少しずつ、
「この先生が言っているなら、前よりできるようになったのかもしれない」
「自分にもできることがあるのかもしれない」
という気持ちが生まれます。
「自分にもできるかもしれない」という予感が自信の始まりです
勉強への自信は、言葉だけで急に生まれるものではありません。
問題を細かく分ける。
できるところと、できないところを分ける。
つまずいた部分に合う問題を練習する。
間違った手順を修正する。
何も見ずに再現できるか確かめる。
翌日や別の問題でも解けるか確認する。
以前より改善した行動を、具体的な事実として伝える。
この積み重ねによって、子どもの中に、
「自分にもできるかもしれない」
という予感が生まれます。
この予感があれば、次の問題にも取り組めます。
次の問題に取り組むから、新しい「できた」が生まれます。
「できた」が増えると、さらに次の問題へ挑戦できるようになります。
この循環を作ることが、勉強への自信を育てる仕組みです。
自信がなくても、できる行動を一つずつ増やせます
最初から自信がなくても構いません。
説明を聞くことが苦手でも、すぐに諦めてしまっても、そこで子どもの力が決まるわけではありません。
その子が理解できる大きさまで問題を分け、つまずいた部分を正しい手順で練習すれば、できることは少しずつ増えていきます。
ときわの塾は、ただ「頑張ろう」「自信を持とう」と励ますのではありません。
問題のどこで止まっているのかを見つけます。
その子ができる地点まで戻ります。
一つずつ正しい行動を練習します。
そして、先生の助けがなくても自分で解けるところまで確認します。
点数だけを追いかけるのではなく、点数につながる行動を育てる。
自分でできたという事実の積み重ねが、子どもの本当の自信につながると考えています。

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