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2026年6月30日

分からないと言えず質問できない子へ|「100回まで聞いて」と伝える理由

ときわの塾先生のブログ

この記事の内容

問題をじっと見たまま、鉛筆が動いていない。

先生が「大丈夫?」と尋ねても、「大丈夫」と答える。

それでも、しばらくすると同じ場所で手が止まっている。

このような子は、質問する気がないとは限りません。

恥ずかしい、怒られたくない、周囲は分かっているかもしれないという不安を持っていることがあります。また、自分がどこから分からないのかを整理できず、質問の言葉を作れない場合もあります。

ときわの塾が「100回まで聞いてきて」と伝える理由と、子どもが分からない場所を質問に変えるまでの関わり方を解説します。

手が止まっていても「大丈夫」と答える子がいます

授業をしていると、「分からない」と言えないまま止まっている子がいます。

問題をじっと見つめている。

鉛筆を持っているものの、何も書いていない。

同じ場所を何度も読んでいる。

周囲を見ているが、自分から質問しない。

そのような子のところへ行き、私は声をかけます。

「どうした?」

すると、

「大丈夫」

と返ってくることがあります。

しかし、ノートを見ると手は止まったままです。

本人は、大丈夫だと思っているとは限りません。

「分からない」と言いたくない。

先生へ迷惑をかけたくない。

何と聞けばよいか分からない。

そのような気持ちから、とりあえず「大丈夫」と答えていることがあります。

「分からへんかったら聞いてええねん」

私は、そのような子へ伝えます。

「分からへんかったら、聞いてええねん」

「100回まで聞いてきて」

本当に質問の回数を数え、101回目から答えないという意味ではありません。

「一度説明されたことを、もう一度聞いてもよい」

「簡単なことだと思われそうでも、確認してよい」

「質問したことで怒られることはない」

と伝えるための言葉です。

質問することに不安を感じていた子が、この言葉を聞いて少し安心した表情になることがあります。

ただし、言葉をかけただけで、すぐに質問できるようになるとは限りません。

質問できない原因も、一人ひとり違うからです。

質問できない理由は一つではありません

子どもが質問できない背景には、さまざまな理由があります。

恥ずかしい

「こんな簡単なことを聞いたら、できないと思われる」

と心配しています。

先生に怒られそう

以前に説明されたことをもう一度聞くと、

「さっき言ったでしょう」

と言われるのではないかと思っています。

周囲の子は分かっているように見える

ほかの子が問題を進めていると、

「分からないのは自分だけかもしれない」

と感じます。

分からないと認めたくない

自分は勉強が苦手だと思いたくないため、「大丈夫」と答えることがあります。

何が分からないか分からない

問題全体を見て、

「全部分からない」

と感じています。

どこまで理解できていて、どこから止まったのかを自分でも説明できません。

この場合は、

「質問していいよ」

と伝えるだけでは、質問できるようになりません。

質問するための材料を、一緒に整理する必要があります。

質問の前に、どこまで分かったかを確認します

子どもの手が止まっているとき、すぐに解き方を教えるとは限りません。

まず、どこまで分かったかを確認します。

「問題文には、何が書いてありましたか」

「何を求める問題ですか」

「分かっている数字はどれですか」

「ここまでで、自分でできたことは何ですか」

「どの言葉から分からなくなりましたか」

このように一つずつ確認すると、

問題文の意味は分かっている。

使う数字も選べている。

何を求めるかも理解している。

しかし、どの計算を使うか分からない。

というように、止まった場所が見えてきます。

すると、

「全部分かりません」

ではなく、

「この二つの数字を、なぜ掛けるのか分かりません」

という質問に変えられます。

最初から立派な質問を求めません

質問する力がまだ身についていない子に、

「何が分からないのか、きちんと説明しなさい」

と求めても、言葉が出ないことがあります。

最初は、

「ここから分かりません」

「この言葉の意味が分かりません」

「何算を使うか分かりません」

「次に何をすればよいか分かりません」

という短い質問で構いません。

指で分からない場所を示すだけでも、質問の始まりになります。

先生と一緒に、

「ここまでは分かる」

「ここから分からない」

と分ける経験を重ねることで、自分の状態を言葉にできるようになります。

考える前に質問することとは違います

質問することは大切です。

しかし、問題を見た直後に、何も考えず答えを聞くこととは違います。

まず問題文を読む。

分かっていることを整理する。

例題やノートを確認する。

自分でできるところまで試す。

それでも分からなければ、止まった場所を質問する。

この順番が必要です。

質問の目的は、早く答えを知ることではありません。

自分では進めなくなった場所から、もう一度考えられるようにすることです。

だから先生も、完成した答えをすぐに伝えるとは限りません。

必要なところまで戻り、次の一歩につながる説明やヒントを出します。

質問した後は、子どもがもう一度解きます

先生から説明を受けた後、子どもが、

「分かりました」

と言えば終わりではありません。

説明を聞いた直後は、先生が使った言葉や式が頭に残っています。

その状態で似た問題を解けても、自分の力になったかはまだ分かりません。

質問した後は、

説明や答えを隠す。

同じ問題をもう一度解く。

なぜその方法を使うのか説明する。

少し形の違う問題でも使う。

という確認を行います。

質問によって、分からなかった場所を一時的に埋めるのではありません。

先生がいなくても、次は自分で進める状態を目指します。

質問の内容だけでなく「聞けたこと」を認めます

質問できなかった子が、自分から先生へ、

「ここが分かりません」

と言えたとき、私はその行動を認めます。

「ええ質問やな」

だけではありません。

「聞けたやん」

「分からないところを言えたな」

と伝えます。

質問の内容が上手だったかどうかよりも、

分からないまま隠さなかった。

自分が止まっていることを伝えた。

助けが必要な場所を示した。

という行動が大切だからです。

その経験によって、

「分からないと言っても大丈夫だった」

「質問したら、また自分で考えられた」

と感じられます。

質問できる子が、最初からできる子とは限りません

質問できる子は、もともと頭がよいから質問できるとは限りません。

分からない場所を確認する。

必要なことを聞く。

説明を受けた後に、自分でもう一度試す。

この行動を繰り返した結果、できることが増えている場合があります。

一方、質問しない子が、自分でよく考えているとも限りません。

何もせず待っている。

分からないことを隠している。

時間が過ぎるのを待っている。

ということもあります。

質問した回数だけで判断するのではなく、

分からないときに、どのような行動を取ったか。

質問した後に、何が一人でできるようになったか。

を確認することが大切です。

先生が質問を待つだけでは見つからない子がいます

「分からなければ質問してください」

と伝えても、自分から手を挙げられない子はいます。

そのため、ときわの塾では、質問が来るのを待つだけではありません。

鉛筆がどこで止まったか。

同じ問題を何分見ているか。

例題を探しているのか。

何もせず待っているのか。

答えを書いた後に、迷った表情をしていないか。

実際の様子を見ながら、必要なときはこちらから声をかけます。

子どもが質問できるようになるまで、先生が止まっている場所を見つけることも必要です。

ご家庭で「分からない」と言われたとき

お子さんが、

「全部分からない」

「もう無理」

と言ったときに、すぐ最初から説明する必要はありません。

まず、

「どこまでは分かった?」

「問題文には何と書いてある?」

「どの言葉から分からなくなった?」

「最初に何をしようとした?」

と尋ねてみてください。

分かるところと、分からないところを一緒に分けます。

ただし、ご家庭で保護者の方が最後まで教える必要はありません。

止まっている場所が分かれば、

「ここが分からないと先生に聞いてみよう」

と、質問の言葉を一緒に作ることもできます。

家庭で答えを教えるより、学校や塾で質問できるようにすることも、自分で学ぶための練習になります。

最後に

「分からない」と言えない子に必要なのは、

「もっと積極的に質問しなさい」

という注意だけではありません。

質問しても大丈夫だと思えること。

分からない場所を一緒に整理すること。

短い言葉でも、困っていることを伝えられること。

質問した後に、もう一度自分で取り組むこと。

この経験を積み重ねる必要があります。

「100回まで聞いてきて」

この言葉には、

分からないことを隠さなくてもよい。

一度で理解できなくてもよい。

質問した後に、また自分で考えればよい。

という思いを込めています。

質問は、答えをもらうためだけの行動ではありません。

分からない場所を見つけ、次の一歩を自分で進むための「学ぶ土台」です。


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