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2026年6月30日

授業の説明を全部覚えようとする子へ|「つまり何?」を考える理由

ときわの塾先生のブログ

この記事の内容

先生の説明を真面目に聞いている。

自分の言葉に置き換えようともしている。

それでも、説明が終わった後に「何が大切だった?」と聞くと答えられない子がいます。

このような子は、話を聞いていないとは限りません。むしろ、一言も忘れないように、すべて覚えようとしていることがあります。

前の言葉を覚えることに意識が向くと、先生が今話していることや、説明全体の中心を考えにくくなります。

説明をすべて暗記するのではなく、「つまり、何が大切なのか」をつかむ聞き方について、ときわの塾が解説します。

説明を聞いた後、表情が変わらない子がいました

先日の授業で、興味深いことがありました。

説明をした後、子どもの表情が変わる瞬間があります。

「あっ、そういうことか」

と気づいたような顔になる子がいます。

このような子は、説明された内容の中から、

「今回は、この考え方を使うんだな」

「ここを見ればよかったんだな」

と、中心となる部分をつかんでいることがあります。

そのため、次の問題でも同じ考え方を使えることがあります。

ところが、その日の授業で、一人だけ表情が変わらない子がいました。

説明が終わっても、ずっと小さな声で何かを言い続けています。

気になったので聞きました。

「何してるん?」

すると、その子は、

「先生が言ったことを、自分の言葉に置き換えて、全部覚えようとしています」

と答えました。

その言葉を聞いて、

「ああ、原因はここかもしれない」

と思いました。

真面目に聞こうとしていたからこそ、全体が見えませんでした

その子は、話を聞いていなかったわけではありません。

むしろ、先生の言葉を一つも逃さないように、一生懸命聞いていました。

説明された言葉を、自分の言葉に置き換える。

その言葉を忘れないように、頭の中で繰り返す。

その間にも、先生の説明は先へ進みます。

すると、前に聞いた言葉を覚えることと、今話されている内容を聞くことを、同時にしなければなりません。

頭の中が、言葉を残しておくことでいっぱいになります。

その結果、

「先生は、結局何を伝えようとしていたのか」

「次の問題では、何を使えばよいのか」

を考えられなくなっていました。

真面目に聞こうとしている行動が、説明全体を理解することへつながっていなかったのです。

桃太郎の話を全部覚えていなくても説明できます

そこで、その子に聞いてみました。

「桃太郎の話、全部覚えてる?」

「覚えてない」

「でも、どんな話か説明できるやろ?」

「できます」

「なんでやと思う?」

その子は少し考えました。

桃太郎の文章を、一字一句覚えているわけではありません。

会話のすべてや、細かな表現まで記憶しているわけでもありません。

それでも、

桃から生まれた桃太郎が、仲間と一緒に鬼ヶ島へ行き、鬼を退治する話。

という中心は説明できます。

話の大まかな流れと、大切な出来事が残っているからです。

要約では、最初に文章全体を読みます

次に、国語の要約について話しました。

「要約って勉強するやろ?」

「うん」

「要約って何してる?」

「短くします」

「どうやって?」

「いらんところを消します」

その子は、そのように答えました。

確かに、要約では細かな表現や具体例を省くことがあります。

しかし、最初から具体例を読まなくてよいわけではありません。

具体例や途中の説明を読むことで、

「この例は何を説明するために使われているのか」

「筆者が一番伝えたいことは何なのか」

が分かります。

文章全体を読んだ後に、

何について書かれた文章だったのか。

一番伝えたいことは何だったのか。

どの内容を残せば、文章の中心が伝わるのか。

を考えます。

要約は、不要に見える言葉を機械的に消す作業ではありません。

文章全体を理解したうえで、大切な内容を選び、短く整理することです。

先生の説明も、要約するように聞きます

そこで、その子に伝えました。

「先生の話も一緒やねん」

「説明の言葉を、一つずつ全部覚えようとせんでええ」

「最後まで聞いた後に、先生が一番伝えたかったことは何かを考えてみよう」

そして、

「つまり、何が大切なん?」

と聞きました。

先生の説明には、

なぜその方法を使うのか。

どのような問題で使うのか。

間違えやすいところはどこか。

実際にどのように解くのか。

など、いくつもの内容が含まれています。

すべての言葉を同じ重さで覚える必要はありません。

説明を聞き終わった後に、

「今回は、この性質を使う」

「次の問題では、この条件を見つける」

「この順番で考える理由は、ここにある」

と、次にも使う内容を整理します。

中心となる考え方が分かれば、必要な説明や具体例も結びつけて思い出しやすくなります。

覚えなくてもよい、という意味ではありません

勉強には、覚える必要のあるものもあります。

漢字。

言葉の意味。

九九。

公式。

理科や社会の用語。

これらは、必要に応じて正確に覚えなければなりません。

今回伝えたいのは、先生の説明を一言ずつ、同じ形のまま全部暗記する必要はないということです。

覚えるものと、理解するものを分けます。

用語や公式は正確に覚える。

説明は、中心となる考え方を理解する。

具体例は、中心となる考え方を確かめるために使う。

そして、理解した考え方を実際の問題で使います。

何でも暗記するのでも、何も覚えないのでもありません。

何を正確に覚え、何を自分の言葉で理解するのかを分ける必要があります。

「全部覚えよう」とする子は、一生懸命なことがあります

その子は、これまでずっと一生懸命だったのだと思います。

先生の説明を忘れてはいけない。

言われたことを正確に覚えなければならない。

そのように考えて、すべての言葉を残そうとしていました。

努力が足りなかったわけではありません。

ただ、努力を使う場所が、その子の学習に合っていませんでした。

だから、

「もっと集中して聞きなさい」

「何度も覚えなさい」

と伝えても、変わりにくかったと思います。

必要だったのは、覚える量をさらに増やすことではありません。

説明の中から、次にも使う大切な考え方を選ぶ方法でした。

勉強は、すべてを覚える競争ではありません

説明や文章のすべてを覚えられることが、勉強の目的ではありません。

大切なのは、

何についての説明だったのか。

一番大切な考え方は何か。

なぜ、その方法を使うのか。

次の問題では、何を見つければよいのか。

を整理できることです。

この力が育つと、問題の数字や問い方が変わっても、教わった考え方を使いやすくなります。

学年が上がり、説明が長くなっても、中心を探しながら聞けるようになります。

ご家庭では「何を覚えた?」より「つまり何だった?」と聞いてみてください

授業や文章の内容を確認するときに、

「先生は何て言っていたの?」

「全部説明してみて」

と尋ねると、子どもは最初から細かく話そうとすることがあります。

代わりに、

「今日、一番大切だったことは何?」

「つまり、どういうことだった?」

「次の問題では、何を使えばよいの?」

「一つだけ覚えておくなら何?」

と尋ねてみてください。

最初からうまく答えられるとは限りません。

その場合は、説明やノートへ戻り、何が中心だったかを一緒に確認します。

長く正確に話せたかではなく、大切な内容を選べたかを見ることが重要です。

私が最初に考えること

子どもが説明を聞いても変わらないとき、私は、

「この子はできない」

とは考えません。

まず考えるのは、

「この子は、頭の中で何をしているのだろう」

ということです。

先生の話を聞いていないように見えて、実際には前の言葉を忘れないように繰り返していることがあります。

考えていないように見えて、すべてを正確に覚えようとしていることがあります。

表面に現れた結果だけでは、原因は分かりません。

実際の様子を観察し、何をしようとしていたのかを聞くことで、その子に必要な学び方が見えてきます。

子どもは一人ひとり、同じ説明を聞いたときに頭の中で行っていることが違います。

だからこそ、その子に合う聞き方や整理の仕方を一緒に探す必要があります。

最後に

先生の説明を全部覚えようとしなくても構いません。

まずは最後まで聞く。

そして、

「つまり、何が一番大切だったのか」

を考える。

必要な用語や公式は正確に覚え、説明からは次にも使う考え方をつかむ。

この聞き方は、学校や塾の授業だけでなく、人の話を聞くときや、大人になって仕事の説明を受けるときにも使えます。

全部を同じように覚えようとするのではなく、大切なことを選び、次に使える形で残す。

これも、ときわの塾が育てたい「学ぶ土台」の一つです。


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