同じ教え方を続けない理由|事実から原因を考え、指導を変える
「何度説明しても、同じところで間違えます。」
「家では一緒に解けたのに、テストになるとできません。」
このようなとき、もう一度同じ説明をしたり、練習問題を増やしたりするだけでは、同じ結果が続くことがあります。
必要なのは、できなかった事実から原因を考え、確かめるための方法を試し、その後の変化を見ることです。
最初に考えた原因が違っていれば、指導方法も変えます。ときわの塾が、最初から一つの教え方に決めない理由を解説します。

事実を見ただけでは、指導方法は決まりません
前回の記事では、「やる気がない」「注意力がない」と決める前に、実際に何が起きていたのかを見ることが大切だとお伝えしました。
例えば、
- 途中式を書いていない
- 問題文の最後まで読んでいない
- 同じ計算ミスを繰り返している
- 分からない問題で手が止まっている
- 教わった直後は解けたのに、翌日は解けない
これらは、実際に確認できる事実です。
しかし、事実が分かっただけでは、次にどのような指導をすればよいかまでは決まりません。
途中式を書いていない子に、ただ「途中式を書きなさい」と伝えても、行動が変わらないことがあります。
その場合は、なぜ書かないのかを考える必要があります。
同じ行動にも違う理由があります
途中式を書かない子にも、さまざまな理由があります。
簡単な問題だから、頭の中だけで解けると思っている。
書くと時間がかかるため、早く答えを出そうとしている。
どこまで途中式を書けばよいのか分からない。
途中式を書く目的を理解していない。
問題文を整理できていないため、そもそも式を作れない。
教わったときには書いていたが、一人になると自己流へ戻ってしまう。
見えている行動は同じでも、理由が違えば必要な指導も変わります。
早く解こうとしている子には、最初は速さより正確さを優先させます。
書き方が分からない子には、途中式の形を具体的に示します。
途中式の意味を理解していない子には、頭の中だけで処理する場合と、式や図に残した場合を比べてもらいます。
問題の内容を整理できていない子には、計算練習ではなく、問題文を読むところから戻ります。
私は原因を一つに決めつけません
事実を確認したあと、私は、
「なぜ、この行動になったのだろう。」
と考えます。
ただし、最初から一つの原因に決めるわけではありません。
例えば、問題文を最後まで読まずに計算を始めた子がいたとします。
この事実から考えられるのは、
- 答えを急いでいる
- 目に入った数字だけで計算している
- 問題文を読む習慣がついていない
- 知らない言葉があり、読むことを避けている
- 何を確かめながら読めばよいか分からない
- 以前に解いた問題と同じだと思い込んでいる
といった複数の可能性です。
私は、この可能性を一つずつ確かめていきます。
これが、私の考える「仮説」です。
仮説を確かめるために方法を変えます
例えば、「答えを急いでいるのではないか」と考えた場合は、時間を計らず、一問ずつ正確に解いてもらいます。
それで読み飛ばしが減れば、速さを意識しすぎていた可能性があります。
ところが、時間を気にしなくても同じ場所を読み飛ばすのであれば、最初の仮説は違っていたのかもしれません。
そこで、次は問題文を一文ずつ読んでもらいます。
すると、知らない言葉で止まっていることが分かる場合があります。
また、文章は読めていても、
「この問題で分かっていることは何?」
「何を聞かれているの?」
と尋ねると答えられないこともあります。
その場合は、急いでいるのではなく、問題文から条件と質問を分ける方法が分かっていない可能性があります。
このように、
事実を見る
→原因を考える
→確かめる方法を試す
→行動の変化を見る
という順番で指導を進めます。
最初の見立てが違うこともあります
最初に考えた原因が、必ず正しいとは限りません。
「集中が続いていないのではないか」と考えて、取り組む問題数を減らしても、手が止まる場所が変わらないことがあります。
詳しく確認すると、集中力の問題ではなく、前の学年で習った内容につまずきが残っていることもあります。
反対に、計算方法を理解していないと思って説明し直したものの、説明中はすべて正しく答えられることもあります。
その場合は、理解していないのではなく、一人で解くときに教わった方法を再現できていない可能性があります。
最初の見立てが違っていれば、同じ指導を続ける理由はありません。
「この方法で教えると決めたから」と子どもを方法に合わせるのではなく、実際の変化を見て方法を修正します。
変化があったかを具体的に確認します
指導方法を変えたあとは、「何となくできるようになった」という印象だけで判断しません。
例えば、
- 次の問題でも途中式を書けたか
- 聞かれ方が変わっても条件を整理できたか
- 教わった翌日にも一人で解けたか
- 分からない場所を言葉で説明できたか
- 間違えたあと、自分で最初の間違いを探せたか
- 先生がいなくても同じ方法を使えたか
という行動を確かめます。
教わった問題をその場で解けただけでは、その方法が身についたとは限りません。
次の問題でも使えるか。
少し形が変わっても使えるか。
時間が経っても一人で使えるか。
ここまで確認して、初めて指導が合っていたかを判断できます。
「練習が足りない」と決める前にも確認します
成績が伸びないとき、練習量を増やすことが必要な場合もあります。
しかし、方法が合っていないまま問題数だけを増やすと、同じ間違いを繰り返すことがあります。
例えば、文章題が解けない原因が問題文の整理にあるのに、計算問題だけを増やしても文章題は解けるようになりません。
途中式の書き方が分からない子に、同じ形式の問題を20問解かせても、自己流の解き方を20回繰り返すことがあります。
教わった直後にしか解けない子に、答えを見ながら問題を進めさせても、一人で解く力を確認できません。
問題数を増やす前に、
「今の練習で、どの行動を変えようとしているのか」
を明確にする必要があります。
子どもに合わせるとは、簡単にすることではありません
お子さんに合わせて指導を変えるというと、問題を簡単にしたり、厳しく言わないようにしたりすることだと思われるかもしれません。
しかし、ときわの塾が考える「子どもに合わせる」は、それだけではありません。
今の力で理解できるところまで戻る。
必要な行動を一つに絞る。
一人でできるところまでは任せる。
教わった方法を使わなければ、もう一度やり直す。
できたつもりで終わらず、別の問題でも確かめる。
その子の状態に合わせて、必要な課題と確認方法を変えることです。
簡単に終わらせるのではなく、その子が一人でできる状態まで進めるために方法を変えます。
私が考え続ける理由
子どもが伸びないとき、
「本人の努力が足りない。」
「やる気がない。」
「もっと練習すればよい。」
と結論を出せば、指導する側は考えることをやめられます。
しかし、実際には、教え方や練習方法がその子のつまずきに合っていないことがあります。
だから私は、うまくいかなかったときに、お子さんだけへ変化を求めるのではなく、こちらの見立てや指導方法も見直します。
事実を確認する。
原因について仮説を立てる。
方法を試す。
変化を見る。
変わらなければ、もう一度考える。
この繰り返しによって、その子に必要な指導が少しずつ見えてきます。
一つの教え方へ子どもを当てはめるのではなく、目の前のお子さんを見ながら考え続ける。
それが、ときわの塾が大切にしている指導です。
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