何度注意しても勉強の仕方が変わらない子へ|習慣になるまでの見方
問題文を最後まで読むように伝えても、次の日にはまた読み飛ばしている。同じことを何度注意しても変わらないと、言い方が悪いのか、本人に直す気がないのかと悩むことがあります。しかし、勉強の仕方は、一度できたから習慣になったとは限りません。注意される状態から、自分で気づいて直せる状態になるまでに必要なことを、ときわの塾が解説します。

注意した直後はできても、次の日には元へ戻ります
西宮市でときわの塾を開いてから、保護者の方からこのようなご相談をいただくことがあります。
「何度注意しても、同じことを繰り返します」
「その場では直すのですが、次の日には元に戻っています」
「もう何回言ったか分かりません」
例えば、勉強中に次のような行動が見られます。
- 説明を最後まで聞かずに問題を始める
- 問題文を途中までしか読まない
- 分からないまま長く手を止める
- 間違えた原因を確認せず、答えだけを書き直す
- 自分でも読み直せない字や数字を書く
- 例題を見ながらでなければ解けない
一度注意すると、その場では直せることがあります。
それでも、次の問題や翌日の学習では、同じ行動へ戻ってしまいます。
このような様子を見ると、
「話を聞いていなかったのだろうか」
「直す気がないのだろうか」
と感じるかもしれません。
しかし、注意された直後に一度できたことと、その行動が習慣になったことは同じではありません。
子どもは、自分の行動に気づいていないことがあります
大人にとって、
「問題文は最後まで読む」
「説明は最後まで聞く」
「間違えたら原因を確認する」
という行動は、当たり前に見えるかもしれません。
しかし、子ども自身は、できていないことに気づいていない場合があります。
例えば、先生の説明中に問題を解き始めた子は、
「話を聞かなかった」
とは思っていないかもしれません。
本人は、
「解き方が分かったから、早く始めた」
と思っていることがあります。
問題文を途中までしか読まなかった子も、
「読まずに解いた」
という自覚があるとは限りません。
目に入った数字や知っている言葉から、何をする問題なのかを早く判断しただけかもしれません。
本人が自分の行動に気づいていなければ、
「ちゃんと聞きなさい」
「もっとよく読みなさい」
と伝えても、次に何を変えるのか理解できません。
注意する前に、起きたことを具体的に確認します
ときわの塾では、教わった内容を自分の力に変えにくくする行動を見つけたとき、そのままにはしません。
ただし、すぐに叱るのではなく、まず何が起きたのかを子どもと確認します。
説明の途中で問題を始めた場合は、
「先生の説明は、どこまで終わっていたかな」
と尋ねます。
問題文を途中までしか読まずに式を書いた場合は、
「この問題で聞かれていることは何?」
と確認します。
間違えた答えだけを書き直した場合は、
「最初は、何が原因で間違えたと思う?」
と尋ねます。
分からないまま手を止めている場合は、
「どこまでは分かっていて、どこから分からない?」
と整理します。
「ちゃんとしなさい」という言葉だけでは、子どもが変える行動は分かりません。
今した行動と、次にする行動を具体的にする必要があります。
次にする行動を一つに絞ります
気になる行動がいくつもある子に、
「最後まで話を聞いて」
「問題文をよく読んで」
「途中式を書いて」
「字も丁寧に書いて」
「間違い直しもして」
と一度に伝えても、すべてを意識することは難しい場合があります。
そのため、まず優先して直す行動を一つ決めます。
例えば、
「先生が説明を終えるまで、鉛筆を置いて聞く」
と決めます。
「しっかり聞く」という曖昧な目標ではなく、鉛筆を置いて説明を最後まで聞くという、子ども自身が確認できる行動にします。
問題文を読み飛ばす子なら、
「式を書く前に、何を求める問題か一度言う」
と決めることもできます。
直す行動が具体的であれば、できたかどうかを子ども自身も判断できます。
例題を見ること自体が悪いわけではありません
勉強の仕方を直すときに、何でも見ずに解かせればよいわけではありません。
初めて習った内容なら、例題を見ながら解き方を確認し、その方法を試すことが必要です。
問題になるのは、何度か練習したあとも、考える前から例題を写すように解いている場合です。
例題を閉じた途端に一人で解けなくなるなら、解き方を理解したのではなく、見たものを同じように書いていた可能性があります。
この場合は、
「まず、何も見ずにどこまでできるか試してみよう」
「分からなくなったところだけ、例題で確認しよう」
と伝えます。
そして、例題を確認したあと、もう一度閉じて解いてもらいます。
最初からすべて一人でさせるのでも、いつまでも例題を見せ続けるのでもありません。
今の段階に合わせて、何も見ずにできる部分を少しずつ増やします。
一度伝えても、同じ行動はまた出てきます
直す行動を具体的に伝えても、次の授業で同じことをする場合があります。
長く繰り返してきた行動は、一度注意されたからといって、すぐに消えるとは限りません。
このとき、
「前にも言ったでしょう」
だけで終わらせるのではなく、
「今、どの行動へ戻っていた?」
「次はどうするんだった?」
と確認します。
最初は、先生に言われてから気づく。
次は、先生が声をかけたときに自分で気づく。
その次は、行動の途中で自分から気づいて直す。
最後は、最初から正しい行動を選べる。
このように、少しずつ先生の声かけを減らしていきます。
本当に見たいのは、注意される前の変化です
ときわの塾が見ているのは、できていない行動がすぐにゼロになったかどうかだけではありません。
以前は、問題文を読むたびに声をかける必要があった。
今は、声をかけなくても読める問題が増えた。
以前は、説明の途中で何度も鉛筆を動かしていた。
今は、一度声をかければ最後まで聞けるようになった。
以前は、間違いを指摘されても原因を考えなかった。
今は、「計算を急いだから」と自分で原因を言えるようになった。
このような変化を見ます。
毎回、注意した回数を正確に数える必要はありません。
大切なのは、
以前より声をかける場面が減っているか
自分で気づいて直す場面が増えているか
という変化です。
完全に直るまで、成長を認めない必要はありません
大人は、まだできていない部分に気づきやすいものです。
以前より改善していても、
「まだ言われないとできない」
「また同じことをしている」
と感じることがあります。
もちろん、まだ習慣になっていない行動は、引き続き確認する必要があります。
しかし、完全に直っていないことと、何も変わっていないことは同じではありません。
変化が見られたときは、
「今日は途中で自分から気づけたな」
「前より、最後まで読める問題が増えてきたな」
「一度言われたあとは、自分で続けられたな」
と、事実を具体的に伝えます。
大げさに褒める必要はありません。
子どもが何を変えられたのかを、そのまま言葉にします。
それによって、子ども自身も、次に続ける行動を理解できます。
一度できても、習慣になったとは限りません
声をかけなくても正しい行動ができる日が来ることがあります。
その日は、
「今日は、何も言わなくても最後まで読めたな」
と伝えます。
ただし、一日できたからといって、その行動が完全に習慣になったとは限りません。
疲れている日。
急いでいる日。
問題が難しい日。
このようなときには、以前の行動へ戻ることがあります。
一度元へ戻ったからといって、それまでの改善がなくなったわけではありません。
もう一度、決めた行動を確認します。
できる日を少しずつ増やし、状況が変わっても続けられるようにする。
そして、元へ戻ったときにも、自分で気づいて修正できる。
そこまで進むことで、行動が少しずつ習慣になっていきます。
家庭では、一度にすべてを直そうとしなくて構いません
家庭学習で気になる行動がいくつもあると、保護者の方は、すべてを伝えたくなると思います。
しかし、一度に多くのことを言われると、子どもは何から変えればよいのか分からなくなることがあります。
まずは、その日に確認する行動を一つに絞ってください。
例えば、「問題文を最後まで読む」と決めた場合は、式や字の丁寧さまで同時に直そうとせず、読む行動を中心に見ます。
そして、
- 自分から最後まで読めた
- 途中で読み飛ばしに気づけた
- 一度伝えたあとは、次の問題でも読めた
- 保護者が言う前に読み直せた
という変化を確認します。
ただし、保護者の方が横について、何度も注意し続ける必要はありません。
声かけが増えるほど親子ともに苦しくなる場合は、家庭で直し切ろうとせず、どのような行動が気になっているのかを塾へ伝えてください。
塾で学習中の行動を確認し、優先して直すことを整理できます。
何度伝えても変わらない場合は、原因を考えます
具体的に伝えても同じ行動が続く場合、本人のやる気だけを原因にしないことが大切です。
例えば、
- なぜその行動が必要なのか理解できていない
- 直す行動が具体的に伝わっていない
- 一度に意識することが多すぎる
- 課題が難しすぎて、正しい行動を続ける余裕がない
- 読む力や言葉の理解に課題がある
- 声をかけてもらうことが前提になっている
- できたあとの確認が足りていない
という原因が考えられます。
原因が違えば、必要な対応も変わります。
同じ言葉で注意する回数を増やすだけではなく、行動が変わらない理由を確認する必要があります。
ときわの塾では、
観察する
→事実を整理する
→原因を考える
→一つの行動を変える
→次の場面でもできるか確認する
という順番を大切にしています。
叱ることが目的ではありません。
教わったことを自分の力に変えられる行動を育てることが目的です。
習慣とは、注意される前に自分でできることです
勉強の仕方は、一度注意しただけで変わるとは限りません。
同じことを繰り返していても、声をかける場面が減り、自分で気づいて直せる場面が増えているなら、変化は始まっています。
最初は、注意されてから直す。
次は、注意されそうになって気づく。
やがて、何も言われなくても正しい行動を選べる。
以前の行動へ戻っても、自分で修正できる。
そこまで続いて、初めて学び方が習慣になっていきます。
できるか、できないかだけで判断するのではなく、以前と比べて、どの段階まで進んだのかを見ることが大切です。
ときわの塾は、点数を追いかける塾ではありません。
点数につながる行動を育てる塾です。
子どもが注意されなくても、自分で考え、学習を進められる状態を目指しています。
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