中学受験の宿題を増やしても成績が伸びない理由|できないときは相談する
「成績が伸びないので、もっと宿題を出してもらった方がよいのでしょうか」
「全部終わらせなければいけないと思い、毎日遅くまで取り組んでいます」
中学受験では、成績が伸び悩んだときに、宿題を増やすことを考える場合があります。
必要な問題を繰り返し練習することは大切です。理解した内容を安定して使えるようにするには、一定の学習量も必要です。
しかし、教わった内容をまだ一人で使えない状態で宿題だけを増やすと、答えや解説を見て空欄を埋める作業が増えることがあります。
ときわの塾では、宿題を先生から子どもへの一方的な命令とは考えていません。宿題は、次の授業までに取り組む、子どもと先生との約束です。
約束だからこそ、黙って答えを写して終わったように見せるのではなく、できない事情や分からない場所があれば相談できます。
宿題を学力につなげるために何を確認し、終えられないときは何を伝えればよいのでしょうか。ときわの塾が解説します。

宿題を増やせば伸びる子もいます
宿題を増やすこと自体が悪いわけではありません。
授業で教わった考え方を理解し、自分でも使える子であれば、必要な問題数に取り組むことで解き方が安定します。
例えば、
- 教わった方法を思い出して使える
- 間違えた原因を確認できる
- 分からない場所を質問できる
- 答えを閉じて解き直せる
- 別の問題にも同じ考え方を使える
という行動ができていれば、宿題の量が学力につながります。
一度できたことを何度か練習し、正確さや速さを高める必要もあります。
大切なのは、量が必要かどうかではなく、その量を自分の力へ変えられる状態になっているかです。
学び方が整わないまま増やすと作業になります
宿題を増やしても成績につながりにくい子には、次のような状態が見られることがあります。
- 分からない問題も答えを見て埋める
- 正しい答えを書き直して終わる
- 解説を読んだだけで分かったと判断する
- 間違えた問題を自分では解き直さない
- 以前に教わった方法を使わず、毎回最初から悩む
- 終わらせることを優先し、質問する問題を残さない
本人は真面目に取り組んでいます。
出されたページを全部終えようとしているため、努力していないわけではありません。
しかし、宿題を提出できる形にすることが目的になると、本当はどこまで一人ででき、どこから分からなかったのかが見えなくなります。
この状態でさらに宿題を増やせば、自分で解ける問題より、答えを見て埋める問題が増える可能性があります。
宿題は先生が理解度を確認する材料でもあります
宿題には、家庭で練習するだけでなく、先生がお子さまの現在地を確認する役割があります。
どの問題まで一人で解けたのか。
どこで手が止まったのか。
どの解き方を試したのか。
どのような間違いをしたのか。
教わった方法を使えていたのか。
この情報が残っていれば、先生は次に必要な指導を考えられます。
ところが、分からなかった問題も保護者の方が教え、すべて正解した状態で提出すると、先生には「一人でできた宿題」に見えることがあります。
また、答えを書き写して空欄を埋めれば、子ども自身がどこで止まったのかも分かりにくくなります。
宿題は、できることを見せるだけのものではありません。
まだ一人ではできないことを見つけ、次の授業へつなぐためのものでもあります。
宿題は先生からの命令ではなく約束です
私は宿題を、先生が子どもへ一方的に命令するものとは考えていません。
次の授業までに、何を練習するのか。
どこまで一人で確かめるのか。
そのために、先生と子どもが交わす約束だと考えています。
約束した以上、まずは自分で取り組む必要があります。
面倒だからしない。
何も試さずに空欄のままにする。
忘れていても何も伝えない。
これでは約束を果たそうとしたことにはなりません。
一方で、約束は、どのような事情があっても黙って守り切らなければならない命令でもありません。
学校行事があった。
体調を崩した。
家族の予定があった。
予想以上に一問へ時間がかかった。
授業内容を理解できておらず、自分では進められなかった。
このような事情があるなら、先生へ相談できます。
社会へ出た後も、約束を守ることと同じくらい、守ることが難しいと分かった時点で相手へ伝えることが大切です。
宿題を通して、その責任の取り方も身につけてほしいと考えています。
終わらないときは「できませんでした」だけで終わらせません
宿題を終えられなかったときは、理由を整理して伝えます。
例えば、
「学校行事があり、予定していた時間を取れませんでした」
「算数の基本問題まではできましたが、文章題で手が止まりました」
「例題を見れば分かりますが、閉じると式を作れませんでした」
「30分考えましたが、何を使えばよいか分かりませんでした」
「ここまでは自分でできましたが、この問題から質問したいです」
という伝え方です。
大切なのは、宿題をしなかった理由を並べて終わることではありません。
- どこまで取り組んだか
- 何を試したか
- どこから進めなかったか
- 次に何を質問したいか
を伝えます。
ここまで整理できれば、先生も必要な場所から指導できます。
分からない問題を適当な答えで埋めない
宿題に空欄を残すと叱られると思い、分からない問題にも適当な答えを書く子がいます。
算数なら、問題に出てきた数字を何となく足したり掛けたりする。
国語なら、本文から関係がありそうな一文をそのまま書く。
理科や社会なら、解答にある言葉だけを書き写す。
空欄はなくなりますが、何を考え、どこで分からなくなったのかが見えません。
分からないから何もしなくてよいという意味ではありません。
まず、
- 問題文をもう一度読む
- 何を聞かれているか確認する
- 分かっている条件を整理する
- 授業の例題やノートを確認する
- 図や途中式を書いてみる
- できるところまで進める
ことを試します。
それでも分からなければ、問題へ印を付け、
「ここまでは分かりましたが、この先が分かりません」
と質問できる形にします。
適当な答えで隠すよりも、分からない場所を正確に残す方が、次の学習につながります。
家庭で全部教えて完成させる必要はありません
宿題が終わらず困っていると、保護者の方が横に座り、最後まで教えたくなることがあります。
しかし、家庭で答えまで教えてしまうと、本人がどこまで一人でできるのか分からなくなります。
保護者の方が確認するなら、
「どこまで一人でできた?」
「何を試してみた?」
「どの問題から分からなくなった?」
「先生へ何と聞けばよいと思う?」
というところまでで十分なことがあります。
分からない問題に印を付け、先生へ伝える言葉を一緒に整理します。
解き方を最後まで教える役目は、学校や塾へ任せられます。
家庭で宿題を完成させることよりも、先生が本当の理解度を確認できる状態を残すことが大切です。
宿題を忘れたときも隠さずに伝えます
分からなくて終わらなかった場合と、忘れて取り組まなかった場合は分けて考えます。
宿題を忘れることはあります。
一度忘れたからといって、すぐにやる気がないと決める必要はありません。
ただし、忘れたことを隠し、答えを写して提出したり、していないのに「しました」と伝えたりすれば、次の改善ができません。
忘れたときは、
「確認するのを忘れていました」
「予定表へ書いていませんでした」
「教材を持ち帰っていませんでした」
と事実を伝えます。
そのうえで、
- 宿題を聞いたときに予定表へ書く
- 帰宅後に教材を同じ場所へ置く
- 始める時刻を決める
- 提出前日に確認する
など、次に変える行動を一つ決めます。
叱られないための説明ではなく、同じことを繰り返さないための相談にします。
事情を伝えることと、簡単に諦めることは違います
「できなければ相談してよい」と伝えると、すぐ諦めるようになるのではないかと心配するかもしれません。
しかし、何も考えずに「分かりません」と言うことと、自分で試したうえで止まった場所を伝えることは違います。
相談する前に、
- 問題文を最後まで読んだか
- 何を聞かれているか確認したか
- 教わった方法を思い出したか
- 例題やノートを確認したか
- できるところまで書いたか
を確かめます。
そのうえで、
「ここまではできました」
「この式を作るところから分かりません」
と言えるようにします。
必要な努力をしたうえで相談することは、逃げではありません。
自分のつまずきを整理し、解決するための学習行動です。
宿題を増やす前に確認したいこと
成績が伸びないため、宿題を増やしたいと考えたときは、まず次のことを確認します。
- 現在の宿題を答えや解説に頼らず解けているか
- 間違えた原因を確認しているか
- 解き直しを自分の力で行っているか
- 分からない場所を質問できているか
- 翌日や別の問題でも同じ方法を使えるか
- 宿題に取り組めない事情を先生へ伝えられているか
- 宿題を終えることだけが目的になっていないか
これらができているなら、必要な問題数を増やすことで力が安定する可能性があります。
できていない場合は、問題数を増やす前に、現在の宿題への取り組み方を整えます。
ときわの塾で宿題を確認するとき
ときわの塾では、宿題が終わったかどうかだけを確認するのではありません。
- どこまで一人でできたか
- どの問題で止まったか
- 間違えた原因は何か
- 教わった方法を使ったか
- 最後は何も見ずに解けたか
を見ます。
宿題を忘れた場合や、事情があって取り組めなかった場合も、隠さずに伝えてもらいます。
事情があるなら、約束の内容を相談できます。
分からなかったなら、分からない場所から学び直せます。
一方で、何も伝えずに約束を放置した場合は、なぜできなかったのかを一緒に確認します。
宿題を通して育てたいのは、指示されたページを埋める力だけではありません。
自分で取り組む。
できなかったことを認める。
必要なことを相談する。
教わったあと、もう一度自分で行う。
このような行動です。
宿題を学力へ変えるために
中学受験では、必要な量の問題に取り組むことも大切です。
しかし、量を増やす前に、現在の宿題がどのような学習になっているかを確認してください。
答えを写して終えていないか。
分からない場所を隠していないか。
間違えた原因を確かめているか。
最後は一人で解けるようになったか。
そして、事情があって約束どおりにできないとき、先生へ相談できているか。
宿題は、先生から子どもへの一方的な命令ではありません。
子どもと先生が、次の学習へ向けて交わす約束です。
約束だから取り組む。
約束だから、できないときも黙って隠さずに相談する。
そのやり取りを通して、宿題はページを埋める作業ではなく、自分で学ぶための時間へ変わっていきます。
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