説明を聞いても頭に残らない子へ|聞いたことを使う4つの行動
この記事の内容
説明中は静かにしていても、要点を理解し、教わった方法を自分で使えなければ、学習内容は定着しません。聞く・要点を説明する・教わった方法を試す・一人で再現するという四つの行動をつなげる指導について、ときわの塾が解説します。

「家でも勉強しているのに、なかなか成績が伸びません」
「授業は真面目に聞いているはずなのに、内容が頭に残っていません」
「説明を聞いた直後なのに、同じところで止まってしまいます」
保護者の方から、このようなご相談をいただくことがあります。
勉強しているのに成績が伸びない原因は、一つではありません。
学習時間が足りないこともあります。
必要なことを覚えていない場合もあります。
問題文を正しく読めていないこともあります。
その中で、ときわの塾が確認していることの一つが、
「説明を自分の力に変えようとして聞いているか」
ということです。
授業中に静かに座っている。
先生のほうを見ている。
うなずきながら説明を聞いている。
これだけでは、学習内容を理解できているか判断できません。
大切なのは、説明を聞いたあとに、要点を説明し、教わった方法を使い、自分一人でもう一度できるかです。
「聞いている」と「聞いたことを使おうとしている」は違います
勉強を苦手とする子も、授業には参加しています。
先生が話している間、席に座っています。
黒板や教材を見ています。
説明に合わせてうなずくこともあります。
しかし、説明が終わったあとに、
「今の説明で、大切だったことは何?」
と聞くと、答えられないことがあります。
「分かった?」
と聞けば「分かった」と答えます。
ところが、同じ方法を使う問題を出すと、何から始めればよいか分かりません。
この状態では、説明を聞くという時間は過ごしていても、説明の内容を自分の行動へ変えられていません。
映画や動画を見るように、説明が自分の前を流れているだけになっています。
一方、聞いたことを使おうとしている子は、
「このあと自分でやるなら、何を覚えればよいか」
「前の問題と、どこが違うのか」
「先生は、なぜこの式を使ったのか」
を考えながら聞いています。
同じ説明を聞いていても、説明後に取る行動が違います。
目線やうなずきだけで判断しません
聞こうとしている子の姿には、いくつかの特徴があります。
- 説明する人や教材を見る
- 必要なところへ目線を動かす
- 分かったところで反応する
- 分からないところで表情が止まる
- 必要なことを書き留める
- 説明後に質問する
このような様子は、聞き方を確認する手がかりになります。
しかし、目線やうなずきだけで「理解している」と判断することはできません。
説明に合ったタイミングでうなずいていても、そのあとの問題では全く違うことをする子もいます。
反対に、目線や反応は少なくても、説明の内容を正確に理解している子もいます。
そのため、ときわの塾では、姿勢だけで判断せず、説明後の行動まで確認します。
- 何を聞かれたのか説明できるか
- 説明の中で大切だったことを言えるか
- 教わった方法を同じ問題で使えるか
- 何も見ずに一人で再現できるか
ここまで見て、初めて説明が自分の力へ変わり始めているかが分かります。
聞いたことを使うための四つの行動
ときわの塾では、説明を聞いて終わりにせず、次の四つの行動へつなげます。
1.何を理解するための説明なのか確認する
説明を始める前に、
「今から何について聞くのか」
を確認します。
算数の文章題なら、
「この問題で何算を使うのか考える」
図形問題なら、
「どの角度が等しいのか、その理由を確認する」
国語の記述問題なら、
「この問いに合う答えの終わり方を考える」
というように、聞く目的を明確にします。
何についての説明か分からないまま聞き始めると、子どもはすべてを同じ重要さで受け取ろうとします。
情報が多くなるほど、何を覚えればよいのか分からなくなります。
先に目的を伝えることで、どこへ注意を向ければよいのかが分かります。
2.説明の要点を自分の言葉で答える
説明が終わったら、
「今の説明で大切だったことは何?」
「最初に何をするの?」
「なぜ、この式を使ったの?」
と確認します。
先生の言葉を一字一句覚える必要はありません。
要点を短く説明できれば、何を学んだのかを整理できます。
例えば、算数の文章題なら、
「同じ数ずつ分けるから割り算を使う」
図形問題なら、
「同じ弧に対する円周角だから等しい」
国語の記述問題なら、
「理由を聞かれているので、答えを『~から』で終える」
という形です。
自分の言葉で説明できなければ、内容をまだ整理できていない可能性があります。
その場合は、同じ説明を長く繰り返すのではなく、どの部分から分からなくなったのかを確認します。
3.教わった方法をすぐに使う
要点を確認したら、実際にその方法を使います。
問題文の条件へ線を引くように教わったなら、自分で線を引く。
図形へ分かった角度を書くように教わったなら、自分で書き込む。
記述問題の述語を先に決めるように教わったなら、自分で答えの終わりを作る。
先生が行ったことを見ているだけでは、自分で使えるようにはなりません。
まず、同じ問題で先生の方法をまねします。
うまくいかなければ、先生の方法と自分の行動のどこが違ったのかを比べます。
正しい方法を使えるまで、もう一度試します。
4.何も見ずに一人で再現する
先生と一緒にできたら、次は何も見ずに一人で解きます。
説明を聞いた直後にできただけでは、先生の言葉や板書を覚えているだけかもしれません。
そこで、
- 例題を閉じる
- 解説を隠す
- 先生からヒントを出さない
- 最初から自分で解く
という条件で確認します。
同じ問題を一人で再現できたら、数字や聞かれ方を変えた問題にも取り組みます。
さらに、翌日にも同じ考え方を使えるか確かめます。
聞いた。
要点を説明できた。
教わった方法を使えた。
何も見ずに再現できた。
この四つがつながって初めて、説明が自分の力へ変わっていきます。
なぜ説明を聞こうとしなくなるのでしょうか
説明を聞こうとしないように見える子にも、それまでの学習経験があります。
低学年の学習には、手順を深く理解していなくても、繰り返すことで解ける問題があります。
計算方法を覚える。
漢字を繰り返し書く。
同じ形の問題を何度も解く。
この方法で正解できる間は、
「先生の説明を最後まで聞かなくてもできる」
という経験が重なります。
ところが、学年が上がると、意味を理解しなければ解けない問題が増えます。
算数では、問題文を読んで、どの考え方を使うのか選ぶ必要があります。
国語では、問いを理解し、本文から必要な根拠を探す必要があります。
中学生になると、覚えた公式や言葉を、問題に合わせて使い分ける必要があります。
それでも、以前と同じように、
「やり方だけ覚える」
「似た問題を繰り返す」
「分からなければ答えを見る」
という学習を続けると、勉強時間の割に結果が出にくくなります。
努力していないのではありません。
学習内容が変わったのに、学び方が変わっていないのです。
説明が長すぎて聞けなくなっている場合もあります
子どもが説明を聞けないとき、すべてを本人の姿勢の問題にしてはいけません。
説明の中に知らない言葉が多い。
一度に伝える内容が多すぎる。
何についての説明か分からない。
分からなくなったあとも説明が続いている。
このような場合、聞こうとしていても内容を理解できません。
ときわの塾では、いきなり長い説明を始めないようにします。
説明に必要な言葉やルールを知っているか確認する。
今回、何を理解するのかを伝える。
説明を短いまとまりに分ける。
一つ説明したら、子どもに要点を答えてもらう。
実際にその方法を使ってもらう。
できなければ、分からなくなった場所へ戻る。
聞く姿勢だけを注意するのではなく、聞いた内容を行動へ変えられる大きさで説明します。
聞こうとすることは、具体的な行動として教えられます
「もっと真剣に聞きなさい」
「集中して聞きなさい」
と言われても、何を変えればよいのか分からない子がいます。
そのような子には、聞くことを具体的な行動として伝えます。
- 今から何を聞くのか確認する
- 大切だと思った言葉を覚える
- 分からなくなった場所を自分で見つける
- 説明後に要点を一つ答える
- 教わった方法をすぐに試す
- できなければ質問する
- 次の問題でも同じ方法を使う
これなら、何をすればよいのか確認できます。
最初は先生から、
「今、何について説明している?」
「大切だったことは何?」
と聞かれなければ答えられないかもしれません。
繰り返すうちに、説明を聞きながら自分で要点を探すようになります。
次に何をするかを考えながら聞くようになります。
そして、教わった方法を次の問題でも自分から使えるようになります。
家庭では「ちゃんと聞いた?」だけで終わらせないでください
家庭で子どもに、
「授業をちゃんと聞いたの?」
と聞くと、多くの子は「聞いた」と答えます。
本人にとっては、授業中に席に座り、先生の声を聞いていたからです。
家庭で確認するなら、
「今日は何を教わったの?」
「先生は、どこが大切だと言っていた?」
「その方法を、何も見ずに使える?」
と聞いてみてください。
説明できなければ、叱って家庭で最初から教え直す必要はありません。
ノートや教材を確認し、どこから分からないのかを整理します。
自分では整理できなければ、学校や塾で質問できるようにします。
家庭では、
「学校や塾の先生の説明を、自分が使うつもりで聞こう」
と伝えていただければ十分です。
聞くことを、点数につながる行動へ変えます
勉強は、長い時間取り組めば必ず伸びるわけではありません。
授業を受けているだけでも、説明を聞いたつもりになっているだけでも、点数には変わりません。
何を理解するための説明か確認する。
大切なことを自分の言葉で答える。
教わった方法をすぐに使う。
何も見ずに一人で再現する。
できなければ、分からなくなったところへ戻る。
この行動がつながることで、説明が自分の力に変わります。
ときわの塾は、点数だけを追いかける塾ではありません。
点数につながる行動を育てる塾です。
「聞きなさい」と注意して終わるのではなく、聞いたことを理解し、自分から使えるようになるまで確認します。

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