そろばんは中学受験に役立つ?3級以上が目安になる理由
そろばんが中学受験に役立つかどうかは、習った経験だけではなく、何級まで力を身につけたかによって変わります。3級以上で求められる計算の正確性と迅速性が、中学受験算数にどう生かされるのかを実例から説明します。

「中学受験を考えているのですが、そろばんは役に立ちますか?」
「受験勉強を始めるまで、そろばんを続けたほうがよいのでしょうか?」
西宮市でも、中学受験を考えている保護者様から、このようなご質問をいただくことがあります。
そろばんを習うと計算が速くなる。
計算が速ければ、中学受験にも有利になる。
一般的には、このように説明されることが多いと思います。
しかし、そろばんと中学受験の両方を指導してきた私の実感では、もう少し正確に考える必要があります。
結論からお伝えすると、そろばんが中学受験に役立つかどうかは、
そろばんを習ったかどうかではなく、何級まで力を身につけたか
によって変わります。
ときわの塾では、珠算3級以上が一つの目安になると考えています。
今回は、そろばんで身につく力が中学受験算数にどう生かされるのか、また、そろばんだけでは身につかない力について、ときわの塾が解説します。
そろばんを習っただけで中学受験に有利になるわけではありません
そろばんを習った経験があれば、誰でも中学受験算数で有利になるわけではありません。
大切なのは、そろばんを通してどの程度の計算力を身につけたかです。
ときわの塾で子どもたちを見ていると、珠算3級以上を取得した子と、それより下の級で終えた子には違いがあります。
もちろん、3級未満で辞めた子が中学受験に向かないという意味ではありません。
その後の練習によって、計算力は十分に伸ばせます。
ただし、
「以前そろばんを習っていたから、計算は大丈夫」
と考えるのは早い場合があります。
そろばん経験の有無ではなく、現在どれくらい速く、正確に計算できるかを見る必要があります。
3級以上では「速さ」だけでなく「正確さ」が求められます
そろばんというと、速く計算するイメージが強いと思います。
しかし、中学受験に生かせる計算力を考えるうえで、速さだけでは不十分です。
珠算3級以上になると、限られた時間の中で、
- 問題を素早く処理する
- 正確に珠を動かす
- 最後まで集中を保つ
- 一つのミスで崩れないように確認する
といった力が求められます。
つまり、迅速性と正確性の両方が必要になります。
中学受験算数でも、難しい問題を考える時間を確保するためには、基本的な計算を速く正確に処理しなければなりません。
計算に時間がかかると、解き方が分かっている問題でも最後までたどり着けないことがあります。
反対に、計算が速くても間違いが多ければ得点にはなりません。
珠算3級以上を目指す過程で身につける迅速性と正確性は、中学受験算数の土台として役立ちます。
級が低い子ほど、精度の低い暗算に注意が必要です
そろばん経験者に対して、
「暗算ができるから計算は大丈夫」
と思われることがあります。
しかし、実際の指導では、級が低い段階の子ほど、まだ精度の低い暗算で答えを出そうとすることがあります。
暗算すること自体が悪いわけではありません。
正確に処理できる暗算は、大きな強みになります。
問題は、正確にできていないのに、
「そろばんを習っていたから、暗算でできる」
と思ってしまうことです。
頭の中だけで計算して間違えても、途中の記録が残っていないため、どこで間違えたのか確認できません。
計算ミスをしたときにも、
「次は気をつける」
だけで終わってしまいます。
これでは、同じ間違いを繰り返します。
中学受験では、暗算でできる計算と、途中式を書いたほうがよい計算を分けることが大切です。
そろばん経験があるから何でも暗算するのではなく、正確に答えを出すために計算方法を選ぶ必要があります。
3級未満で辞めた場合は、その後の努力によって変わります
珠算3級未満でそろばんを辞めたからといって、中学受験で不利になるわけではありません。
ただし、そろばんを習った経験だけで、受験に必要な計算力が完成したとは考えないほうがよいでしょう。
その後も、
- 基本的な計算を繰り返す
- 時間を測って解く
- 間違えた原因を確認する
- 正確にできない計算は筆算や途中式を使う
- 同じ種類の間違いを減らす
といった練習が必要です。
3級以上を取得していても、練習しなければ計算力は落ちていきます。
反対に、3級未満で終えていても、その後に正しい方法で練習を続ければ、受験に必要な計算力は身につけられます。
結局は、級の数字だけで決まるのではありません。
ただ、中学受験に生かせる計算の迅速性と正確性が身についているかを考えると、3級以上が分かりやすい一つの目安になるということです。
難関校を目指すなら、小学3年生までの3級が一つの目安です
難関校を目指す場合、ときわの塾では、できれば小学3年生までに珠算3級程度の力を身につけることを一つの目安にしています。
中学受験の学習が本格化すると、算数では計算以外にも学ばなければならないことが増えていきます。
例えば、
- 問題文を最後まで読む
- 条件を整理する
- 図や表に表す
- どの解き方を使うか考える
- 習った方法を別の問題に使う
- 自分の間違いの原因を見つける
といった学習です。
学年が上がってから、受験算数とそろばんの両方に多くの時間を使おうとすると、子どもの負担が大きくなることがあります。
そのため、低学年のうちにそろばんで計算力を身につけ、必要な段階に達したら中学受験の算数へ比重を移す方法があります。
準2級まで取得し、小学2年生でそろばんを終えた子もいます
実際に、ときわの塾で中学受験へ進んだ子どもたちには、小学2年生でそろばんを終えてもらいました。
早く辞めさせたのは、そろばんが中学受験に必要ないと考えたからではありません。
準2級などを取得し、中学受験に生かせる計算力がすでに身についていたからです。
必要な計算力が身についた後も、そろばんを続けること自体は悪くありません。
しかし、中学受験を目指す場合は、限られた時間をどこに使うかも考えなければなりません。
その子たちは、そろばんで身につけた計算力を土台として、文章題を読み、条件を整理し、自分で解き方を選ぶ学習へ進みました。
これは、そろばんを途中で投げ出したのではありません。
そろばんで必要な力を身につけ、次の学習段階へ進んだということです。
そろばんだけでは中学受験算数は解けません
そろばんで身につけた計算力は、中学受験で大きな土台になります。
しかし、計算が速いだけでは、中学受験算数の問題は解けません。
中学受験の算数では、問題文の中から必要な条件を見つけ、その条件を整理し、どの方法を使えばよいかを考える力が求められます。
計算が速くても、
- 問題文を十分に読まない
- 何を求める問題か確認しない
- 条件を整理しない
- 図や途中式を書かない
- 習った解き方を別の問題で使えない
という状態では、得点は伸びません。
そろばんは、受験算数そのものではありません。
受験算数を学ぶ前に、計算で困らない状態を作るための土台です。
この二つを混同しないことが大切です。
そろばんをいつまで続けるかは、学年だけで決めません
「中学受験をするなら、そろばんは何年生まで続ければよいですか?」
この質問に、すべての子に共通する答えはありません。
同じ小学3年生でも、取得している級や計算の正確性、進学を希望する学校、現在の学習状況によって判断は変わります。
ときわの塾では、単に学年だけを見て決めるのではなく、
- 現在の珠算の級
- 計算の速さ
- 計算の正確性
- 暗算の精度
- 中学受験で目指す学校
- 算数や国語の学習状況
を見ながら考えます。
まだ計算力が十分でなければ、そろばんを続ける意味があります。
一方、3級以上の力が身につき、中学受験の学習量が増えてきたなら、受験算数へ比重を移す時期かもしれません。
大切なのは、そろばんを長く続けること自体を目的にするのではなく、その子に今必要な学習は何かを考えることです。
そろばんは、中学受験に向けた計算力の土台になります
そろばんは、中学受験に役立ちます。
ただし、
「そろばんを習っていれば安心」
「暗算ができれば受験算数も解ける」
というものではありません。
ときわの塾では、珠算3級以上を、中学受験に生かせる計算力が身についているかを考える一つの目安にしています。
3級以上になると、計算の迅速性だけでなく、正確性も求められるからです。
一方、3級未満で辞めた場合は、その後の計算練習によって変わります。
また、低い級の段階で身につけた精度の低い暗算に頼っている場合は、計算方法を見直す必要があります。
そろばんで計算力を身につける。
その土台の上に、問題文を読む力、条件を整理する力、解き方を選ぶ力を積み重ねる。
それが、そろばんを中学受験に生かすための考え方です。

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